1月15日、JOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和会長が記者会見を行いました。
来年、2020年に開催される、東京オリンピック・パラリンピック招致活動に於いて、賄賂を贈ったのではないかという疑惑について、フランス司法当局が捜査を開始したことについての会見でした。
先週1月11日、夕方のニュース番組を見ている時に、『竹田恒和氏にフランス司法当局、贈賄容疑で捜査』というような速報テロップが出たんです。
それを見た瞬間、私は『これは!!』っとピンときたんです。
東京オリンピック招致委員会が、シンガポールにあるコンサルタント会社を通じて賄賂を贈っていたのではないか?ということを、フランス当局が捜査していると、実は3年前に、この問題が報じられていました。
日本でもその時、騒ぎになり、2016年の5月に日本の調査チームが設置され、9月に違法性はないと判断をされ、日本では解決した問題でした。
しかし、フランスではその後も継続をされていたようです。
武田氏は会見で、コンサルタント会社の選定プロセスには関与をしていない上で、選定プロセスは適正であった事や、コンサルタント料の支払いは、コンサルタント業務に対する適切な対価だったと述べています。
もちろん私は捜査関係者ではありませんので、事実関係がわかりません。しかし、この件で私が思うところが二つあります。
一つ目は、オリンピック招致に賄賂かどうかはともかくとして、お金が動いていることは現実だと私は推測をしています。ある意味で日本は、こういったことについてお行儀が良い訳ですが、他国はこれをあからさまにやっていると思っています。その上で、海外のコンサルタント会社を使って何らかの工作をしていた可能性はあると思います。これについて良いか悪いかは別問題です。さっきも言ったように、これに関しての実態関係は私にもわかりません。
二つ目に、この問題をフランスは3年前から問題視をしていましたので、それからずっと捜査が継続していたと言えばそれまでですが、私が『これは!』とピンと来たのはやはりカルロス・ゴーン氏の逮捕と拘留の長期化が背景にあると思いました。すなわち、ゴーン氏逮捕に対する意趣返し、報復、マイルドに言うならば、牽制ということでしょうか。
ゴーン氏逮捕の時にも書きましたし、マクロン政権に対するデモの件でも私、言いましたが、日産の筆頭株主はルノーであり、ルノーの筆頭株主はフランス政府だからです。その意味で、ルノーから送り込まれているゴーン氏の逮捕に対する、フランスの牽制ではないかと私は考えたくなります。そう考えたので、竹田氏の報道翌日、1月10日の新聞各紙の朝刊を全紙チェックしました。
私が先ほど述べた事を、毎日新聞が少しだけ書いていましたが、他紙は全然書いていませんでした。この数日、テレビなどでも少しそういう見方が出てきています。しかし、当然ですが、フランス政府がこの事を認めることは今も、これからもないでしょう。
でも私はその可能性が十分にあるのではないかと思ってます。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年1月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。