次は和牛が標的。中国・韓国に「盗まれ放題」はもう許されない

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

ビジネス雑誌・プレジデントの2019年2月18日号で、イチゴに続き、世界的に人気の和牛が中国に流出寸前であったことを書かせて頂き、ご掲載頂きました。

昨年、カーリング娘の「韓国のイチゴおいしい」発言で、日本中が大騒ぎになり、農水省も「本腰を上げて対策に乗り出す」という心強い姿勢を見せてくれました。しかし、あれから一年が経過した今、問題は依然として根本的な解決の糸口がつかめていません。

写真AC:編集部

中国当局に助けられた和牛流出危機

2018年7月、国内の和牛の受精卵が日本のX線検査を通過して、中国当局によって流出寸前だったことが明らかになりました。本来は日本国外に持ち出させないようにするべきところが、中国当局に助けられるという“お粗末”な和牛流出危機だったのです。

農水省は今年1月に大阪府の男性を刑事告発しました。世界的に有名で評価の高い、”WAGYU”を奪われないためにも、農水省には、流出を未然に防止する対策を講じて頂きたいところです。

流出危機のあった後の2018年12月、今度は日本の和牛が輸入を禁じられているはずの中国で、大量に流通している事が明らかになりました。この流出危機の後で起こった大量流通の裏側には、カンボジア経由で中国の高級店などに裏ルートを経由して流れたと見られています。

日本から国外への持ち出しが出来て、中国当局は発見できたということであれば、国外持ち出しへのチェックレベルの甘さを指摘されても、仕方がないのではないでしょうか。日本の食品を狙う輩は、事前通告なく、いつ持ち出しを図るのかはわかりません。「絶対に持ち出させない!」という強い決意の感じられる対策で、徹底的に流出を防止してもらいたいと強く願います。

国内大手スーパーに陳列された韓国イチゴ問題

また、過去記事でご紹介した通り、今年に入って年始早々に「国内の大手スーパー」に逆輸入した韓国イチゴが陳列される、という問題が起きています。

参考:元・日本産の韓国イチゴ逆輸入始まる…販売店は売国奴か?

この問題はTwitterを中心に瞬く間に拡散され、多くの人の知るところとなりました。あまりの怒りの声に驚いたのか、今では完全に陳列棚から韓国イチゴは姿を消し、一旦この問題は収束したかのように思えます。

スーパーで販売される韓国産イチゴ(ツイッターより:編集部)

しかし、韓国イチゴのマーケットは、日本だけではありません。彼らが次に狙う市場はシンガポール、香港、オーストラリアといった日本のイチゴが「高級品」として現地の富裕層を中心に高い評価を得ている地域です。日本のイチゴに対して、大きな価格優位性を持つ韓国イチゴに切り込まれると、日本のイチゴはひとたまりもありません。

なんせ、元は日本産のイチゴを盗んだわけですから、相手の手元にはすでに高い品質のイチゴがあります。味や品質に大差をつけることが出来なければ、価格で負けてしまうことは自明の理です。

これはイチゴや和牛を通した戦いだ

韓国は国を挙げて、日本のイチゴを盗み、自国ブランドのイチゴを作り上げて日本に対して真っ向から勝負を挑んでいます。日韓のイチゴ戦争は日本の敗北で決着していますから、今からロイヤリティの請求をすることは出来ません。しかし、今は舞台を海外に移した「第二次イチゴ戦争」が勃発しているのです。ここで破れてしまうようなことがあれば、日本はイチゴを盗まれ、盗まれたイチゴでシェアも奪われる「2度めの敗北」として、後塵を拝することになります。

すでに韓国はみかんを、中国はシャインマスカットを盗んでおり、そして次に彼らは和牛を狙っています。

盗まれ放題、負け続けの日本の食品戦争に対して、高品質を生み出すことに尽力してきた、我が国のご先祖様はどのような気持ちで見ていることでしょうか。これ以上、日本の誇る食品を隣国に盗まれ続けないためにも、農水省を始め、国を挙げて全力で保護に努めてもらいたいと心から願います。敗北の連鎖を止めるべきタイミングは、今なのです。

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。