こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka
お正月のまったりした空気を打ち破る、そんなピリついたニュースが入ってきました。「元・日本産の韓国イチゴ」が、ひっそりと日本の大手小売店で販売されているというものです。「韓国が日本のイチゴを盗み、それが日本のスーパーで販売されている!」と、Twitterを中心に「韓国のイチゴ問題」が再燃している状況です。
私は昨年、この問題についての記事を書き、数々のネットメディア、ビジネス雑誌、テレビからの取材に応じさせて頂きました。今回は、韓国イチゴを販売する店舗は、売国奴なのか?それとも被害者なのか?どうすれば再発防止が可能なのか?ということを改めて考えてみたいと思います。
発端は平昌オリンピックカーリング女子の発言
日本中に「韓国のイチゴ泥棒事件」が注目されるきっかけになったのは、昨年の平昌オリンピックでカーリング女子が「韓国のいちごおいしい」とコメントをしたことに端を発します。
参考・過去記事:カーリング女子の「韓国のいちごおいしい」発言の裏事情
彼女たちは農業ビジネスに深い知識がある専門家ではありません。純粋に、イチゴのおいしさに舌鼓を打ち、「イチゴがおいしかった!」とコメントをしたにすぎません。しかし、その背景には苦心惨憺してイチゴを開発した、日本の農家の血と汗と、そして屈辱と怨嗟のこもったイチゴだったため、結果として激しく炎上しました。おいしいのは当然、彼女たちが口にしたのは「元々は日本の農家が作ったもので、韓国が国ぐるみで盗んだイチゴ」だったからです。
ネットでは、一部の人がカーリング女子たちへ「泥棒国のイチゴがおいしいなんて恥を知れ!」と批判の声を上げる様子も見られました。しかし、繰り返しですが、彼女たちはスポーツ選手であり、農業ビジネスの専門家ではありませんから、そのような恐ろしい裏事情があったことを知るわけもありません。
参考・過去記事:多くの人が勘違いする「韓国いちご問題」3つの誤解
国内小売店が日本と韓国のイチゴを並べて販売
そんな日本国民を怒りに震えさせた問題のイチゴが、皮肉にも年始早々に日本のスーパーで販売されている事がTwitterで大きな問題になっています。
帯広のイオンでも韓国産いちごの“雪香”が売られていた。あの“雪香”である。イオンは日本人と日本のいちご農家を馬鹿にしたいらしい。 pic.twitter.com/wqBQNnaoxp
— 小野寺まさる (@onoderamasaru) 2019年1月2日
販売されているのは韓国産の「雪香(ソルヒャン)」というイチゴで、元々は日本の「レッドパール」と「章姫」をかけ合せたものです。それを「韓国産イチゴ」として、「新品種として開発した。これは韓国のものだ」と主張しているわけです。
「日本産いちご × 日本産いちご = 韓国産いちご」として「雪香」を販売することで、本来は日本へのロイヤリティ支払いが必要なのを回避したわけです。それも国ぐるみで取り組んでいるのですから、もはやかの国は「ドロボウ国家」と呼んで差し支えないでしょう。
ドロボウ国家の盗みの手口は敵ながらあっぱれ、いまや日本はなすすべもない状態です。名目上は「韓国産イチゴ」ということになっていますから、日本への輸入の差し止めも適いません。
そんなイチゴが今、日本に攻め込んできているわけです。
小売店は本当に売国奴なのか?
ネットでは、「日本から盗んだイチゴを販売するような店舗から商品は買わない!売国奴だ!」と怒りに打ち震える声も多いのです。その盛り上がりは、1年も前に書いた記事に関わらず、アゴラのPCアクセスランキングで1位になるほど、アクセスが殺到していることからも伺えます。
もはや相手国を法的に罰することはできません。盗まれたイチゴを守り切ることができなかったのですから、相手がどの国に輸出しようがそれを制止する権利は失われたのです。ネット民もそれを知ってか、怒りの矛先が小売店に向いてしまっています。
ですが、ここはどうか冷静になりましょう。悪いのは販売している小売店ではありません。
小売店は韓国が日本からイチゴを盗み、栽培し、あろう事かイチゴを盗まれた被害者国へ売りつけているという、恐ろしい事情など知るわけもないでしょう。仕入れ担当者、販売担当者としては、「国産のブランドいちごの他に、海外産の安価で珍しいイチゴを販売することで、お客様に選択肢を提供したい」という、あくまで商いの気持ちで仕入れ、販売しているのです。
それを糾弾するのはおかしな話です。それが通るなら、ヤフオクやメルカリなどで、もはや中古品を買うことができなくなります。元々、どのようなルートで仕入れられた商品なのか?中古品における入手元の完全なるトラッキングなど不可能ですから、購入する側は経済的合理性があれば買うだけです。実際、ネットオークションサイトで盗品と知らずに物を買ってしまうケースはあります。
でも、そんな事情を知る由もない、購入者側を責めることなどはできないでしょう。商いの活動の結果として、店頭に並んでしまった事に怒りをぶつけるのではなく、これからの未来をどうするのかを建設的に考えるときが来ているのです。
異常なのは他国からブランドいちごを盗み、国家ぐるみで日本へのロイヤリティの支払いを回避し、そして厚顔無恥にも堂々と盗んだ相手先に売りつけに来るドロボウ国家です。そんなことは夢にも思わない小売店は、被害者であっても加害者であるわけがありません。
相手への最大の攻撃は声を上げることだ
もはや、法的にどうすることもできなくなった今、私達に残された道はこの悔やみきれない「痛恨の歴史」から学び、再発防止策を立てること。それから相手に怒りの声を届けることで牽制することではないでしょうか。
法的にどうしようもなくても、世論の声は時に、巨人を動かす力を持ちます。事実、昨年のカーリング女子のイチゴおいしい発言は、ドロボウ国家の大手メディアでも、「日本で韓国がイチゴを盗んだと騒ぎになっている」と報道されています。一人ひとりの力は小さくても、それが集まれば話は違うでしょう。相手もおいそれと第2、第3の盗みを働くことが容易ではなくなるかもしれません。
また、恐れるべきは日本への盗品の輸入などではありません。そうではなく、「おいしいブランドいちご」という国際的なスタンディングを、相手に奪われてしまう事にあります。現在、日本は努力してシンガポールや、台湾、香港の富裕層を中心にイチゴの販売量を伸ばしてきました。この地道に積み上げてきたシェアを、今、まさにドロボウによって奪われてしまう危険に晒されているのです。
今回、再び騒ぎになった「韓国のイチゴドロボウ問題」を機に、同じ歴史を繰り返さないための施策、並びに国際的シェアを奪われないための施策を検討する時が来ているのではないでしょうか。
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黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表