キューバで1日、小さな隕石が住宅地域に落下した。キューバの文部科学省によると、隕石は無数に破壊され、地上に降り注いだのをキューバ最西部の都市ピナール・デル・リオで目撃された。最も大きい隕石は直径11センチ。被害情報は公式には報じられていない。隕石が落下する直前、大きな爆発が伴った火の玉が目撃された。隕石はニッケル、鉄、ケイ酸マグネシウムから成り立っていたという。ルンバ発祥の地のマタンサスでも同時間、火の玉がカリブ海に落ちていくのを見たという報告がある。
ブルガリアの予言者ババ・ヴァンガが「2019年の予言」の中で「ロシアに隕石が落ちる」と述べていたことを思い出す。これまでのところロシアで隕石落下のニュースは聞かない。ちなみに、ロシア中部ウラル地方のチェリャビンスク州周辺で2013年2月、隕石が落下し、その衝撃で学校や住居のガラス窓が割れるなど損壊したことはあった。
地球に最も接近した小惑星は「2013DA14」で2013年2月15日、地球から約2万7000キロのところを通過した。小惑星は大きさが45~50メートルで推定13万トン。NASAによると、これまで1万8000個の地球近傍小惑星(NEAs)が発見されている。その内、約1000個は直径1キロ以上、140メートルより大きい小惑星は8000個だ。
昨年4月、「2018GE3」と呼ばれる小惑星が時速10万キロで地球から約20万キロの所を通過していった。惑星の大きさは直径50メートルから100メートルと推定。地球に衝突していたならば大規模な被害が発生したことは間違いない(「米英仏のシリア空爆と小惑星接近」2018年4月19日参考)。
大きな隕石が地球に衝突した場合、その衝撃度は核爆発どころではない。小惑星が地球をかすめただけでも、大気圏の電磁層が混乱し、通信網に支障をきたす可能性が出てくるといわれている。
ところで、ロシア、中国、北朝鮮は電磁パルス(EMP)攻撃を計画している。海外中国メディア「大紀元」の記事(2月2日)は、米国防総省が最近公開した2017年7月に作成された報告書の概要を報じている。同報告書(65頁)はピーター・ビンセント・プレイ(Peter Vincent Pry)博士が、米議会のEMP調査委員会の求めに応じてまとめたものだ。
電磁パルス攻撃とは、「核爆発などによって強力な電磁波を発生させ、電子機器に過負荷をかけ、誤作動させたり破壊したりするもの。核弾頭を搭載したミサイルを地上40キロで爆発させれば、その爆発で強力な電磁波が発生、半径600~2200キロの範囲で地球の大気圏でEMPが生成される」という。その結果、コンピューター、発電所、通信衛星、電話、電気制御された水道設備やガスパイプラインなど対象地域の電気系統の機器が失われ、地域は「石器時代に戻る」というわけだ。
プレイ博士の報告書(Nuclear EMP Attack Scenarios and combined Arms Cyber Warfare)によれば、「米軍が誇る空母も無数のコンピューターで操作、運営されているから、EMP攻撃を受けた場合、空母は活動ができなくなる。ロシアや中国、北朝鮮は米軍の軍備がハイテク機材に依存していることを知っている。EMP攻撃は米軍の弱点を突く作戦だ」と受け取っている。トランプ米大統領は昨年12月、米国防総省に宇宙司令部の創設を命じたが、EMP攻撃に対する防衛網の構築も目的の一つではないか。電子戦は既に始まっているわけだ。
朝鮮半島では北朝鮮の非核化が最大の課題となっているが、北朝鮮は既にEMP攻撃を計画し、一部実践している。「大紀元」によると、「中国や北朝鮮は強力な電磁パルスを発生させるEMP攻撃に特化したスーパー核弾頭を開発している」という。それが事実ならば、日本側も深刻だ。
北朝鮮は2017年8月29日、中距離弾道ミサイル「火星12」を発射、ミサイルは日本上空を通過し、北太平洋に落下したが、ミサイルが小型核弾頭を搭載し、日本上空で爆発していたならば、その瞬間、大量の電磁パルスで日本の通信網、産業インフラは完全にマヒ状況に陥っていただろう。
軍事専門家に聞かなければ分からないが、電磁パルス攻撃は相手のインフラを破壊するが、攻撃側もそのハイテク兵器を使用できなくなる点では同じではないか。北朝鮮が潜水艦発射ミサイルの開発に力を入れているのは将来の電子戦に備え、電磁パルス攻撃の影響の少ない潜水艦による攻撃が重要となるからだろう。
隕石と小惑星の話に戻る。いつ、どこに落ちるかは現在の天文観測所では容易に予測できない。昨年、地球に接近した「2018GE3」が発見されたのは、アメリカ航空宇宙局(NASA)によれば、地球通過21時間前だったという。地球に衝突する軌道上にあると判断したとしても、もはや時間がない。地球はNEAsの衝突という悪夢を完全には排除できない一方、そんな宿命を抱える地球上の人間が電子戦を展開させ、相手の産業インフラを麻痺させてるため電磁パルス攻撃の開発に腐心しているわけだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2019年2月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。