すばやく正しい決断ができれば、仕事も人生もうまくいく。あなたは「決める」ということの本当の意味をご存じですか?もしかしたら、あなたは「決めている」と思っているだけで、本当は「決めていない」かもしれません。今回は、『なかなか自分で決められない人のための「決める」技術』(Discover21)を紹介します。著者はコンサルタントの、柳生雄寛さん。
幸福と災いは紙一重
あなたの人生は、これまでのあなたがしてきた決断の量と質の結果であり、これからあなたがする決断の量と質で将来の運命が大きく変わっていきます。「人生は決断の連続であり、決断の量と質で決まる!」といっても過言ではありません。柳生さんは、「『決める』ことは、地球上で人間だけが持つ能力」だと解説します。
(柳生さん)「その能力があるからこそ、他の動物と比べて人間社会だけが特別な進歩を遂げることができたと思うんです。しかし、せっかく『決める』能力を手に入れているにもかかわらず、それを活かすことができていない人があまりにも多いと感じます。失敗を恐れて決断ができない人がいますが、決断が失敗につながるかは誰にもわかりません」
(同)「『人間万事塞爺が馬』(にんげんばんじさいおうがうま)という、中国の故事をご存じでしょうか?中国北方の城塞の近くに占いの上手な老人が住んでいました。あるとき、その老人が飼っていた馬が逃げ出してしまったため、近所の人たちが気の毒がると、その老人は残念がる様子もなく『このことが幸福につながらないとも限らない』と言いました」
のちに、逃げた馬は野生の素晴らしい馬を連れて戻ってきました。近所の人たちがお祝いを言いに行くと、老人は「これが災いの元になるかもしれない」と言います。
(柳生さん)「今度は、その馬に乗った老人の息子が、落馬して足の骨を折ってしまいました。近所の人たちがお見舞いに行くと、その老人は『これが幸福の元になるかもしれない』と言います。それから1年後、隣の国の軍隊が攻め込んできて戦争となり、近所に住んでいる息子の友達であった若者たちはほとんどが戦死してしまいました。しかし、足の骨を折っていた老人の息子は兵役を免れたため、戦死しなくてすんだのです」
ベストと思える決断をする
人の馬は、福から災いへ、そしてまた災いから福へと、老人の運命に変化をもたらしますが、このようなことは長い人生の中ではよくあること。人生というのは、何がどうなるかは予測できないものです。そして、すでに起こった過去の事実も、考え方や捉え方ひとつで、良くも悪くも一瞬で変わります。だから、決断した後に起こる出来事に一喜一憂してはいけません。その出来事を受け入れて最善と思える決断を繰り返すしかありません。
人生は決断の連続です。しかし、先のことを完全に予測することは不可能ですから、そのの時点でベストと思える決断をするしかありません。このようなことを知っておくと、失敗を恐れずに「決める」ことができるようになるでしょう。
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員 尾藤克之
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『即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社)
[本書の評価]★★(67点)
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