東京がオリンピックの前に学ぶべきは「ロンドン」

内藤 忍

ロンドンに立ち寄る機会がありました。もともとは、ウクライナの不動産視察のためにトランジットで行くだけだったのですが、せっかくなので数日滞在し、久しぶりにイギリスの空気を吸いました。

ロンドンの中心部のマティーニで有名なバーがあるチャーミングなホテルに泊まりました。近くに、取引先でもある世界最古のスピリッツ商のBB&R(ベリーブラザーズアンドラッド)本社がありました。特別な部屋に案内してもらい、シャンパーニュをご馳走になる機会もありました(写真)。

イギリスと言うと、まず「食事が美味しくない」という偏見があったのですが、今回そのイメージが大きく覆されました。

イギリスの伝統的な料理はともかく、ロンドンで入ったレストランは、どれも洗練されていて、フランスやイタリアのようなラテンの国々との格差がずいぶん小さくなっているように思いました。

また、人々が明るくフレンドリーで、以前の暗くてとっつきにくい感じもすっかり変わって驚きました。

そして古い建物を大切に使いながら、新しい近代的でアーティスティックな高層ビルも次々に建設され、アイコニックなデザインの建物が街の魅力を更に高めています。テートモダンのような現代アートの展示も充実し、世界的なトレンドにもしっかり対応しています。

数日の滞在だけで決めつけるのは早計かもしれませんが、ロンドンが以前にも増して、国際観光都市として開かれた街になったという印象を持ちました。

これは数年前に開催されたロンドンオリンピックが影響していると思われます。オリンピックの開催を機に、インフラの整備が進み、人々の意識が変わり、多くの外国人が訪れるようになって、多様性を受け入れる懐の深い国際都市として成長していったのです。

日本でも東京で2020年のオリンピックが開催されます。目指すべきロ―ルモデルはロンドンではないかと思いました。

外国人が増えることに治安面の感じている人は多いようです。しかし、いたずらに外国人というだけで排除するのではなく、どのように共存し、魅力的な街にしていくか考えていく前向きな発想が大切だと思います。

残念ながら、ロンドンはブレグジット(2016年に起こったイギリスのEU(欧州連合)離脱問題)で揺れており、今後は経済的にも観光面でもパリやフランクフルト、ダブリンなどの都市にその座を譲ることが出てくるかもしれません。

東京にはそんなネガティブな材料はありません。オリンピックをきっかけに、ロンドン、ニューヨークといった世界のトップクラスのを超えるグローバルシティとして、発展するかもしれません。そうなれば、アジアの都市の中で、圧倒的なポジションを獲得することができる。

ロンドンの気持ちの良い時間を過ごしながら、そう思いました。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年2月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。