5%の男性育休取得率
男性の育児参加が叫ばれている。現状では、出産者数(男性の場合は出産した配偶者数)を100とした場合、育児休業取得率は女性が83.2%に対して男性は5.14%と依然低い(『平成29年度雇用均等基本調査』厚生労働省)。
私は、第2子の誕生にともない、昨年1年間の育休を取得した。周囲からは収入面と仕事面の2点で不安視されたが、寧ろメリットが大きいことを記しておきたい。
育休で意外に潤う収入面
まず収入面では、育児給付金が前半年は67%、後半年は50%支給される。また、育休中でも月間80時間までの就労は認められており、その分の給与を事業所が支給してくれれば、育児給付金と合わせて育休取得者は最大で総収入の8割を確保できる。
育休で抜本的に見直せる仕事面
つぎに仕事面だが、上記の通り部分的に就労することで、これまでの業務の大幅な効率化に繋がる。私自身、週に3日ほど時短勤務させてもらっていたが、それまでの仕事を約45%の時間で仕上げる必要に迫られ、仕事を抜本的に見直す契機となった。人間、何かのイベントやインシデントがなければ重い腰は上がらないものだが、育休はそのきっかけを提供してくれる。育休は2割の減額ではなく、2割の投資だといえる。
「どう休むか」ではなく「どう働くか」
つまり、育休を「どう休むか」ではなく「どう働くか」という働き方改革として活用すれば、キャリアのブレーキにはならない。育休は「育児が大変でなければ取れないもの」との認識が強いように感じるが、育児休業は本来「育児を行いやすくすること」を目的に「職業生活と家庭生活の両立を支援」するものと定義されている。育休は子どものためであり、同時に自分自身のためでもあるのだ。
平均以下の男性教育関係者
ところが、実は、子どもたちを相手に仕事をする男性教育関係者の育休取得率は低い。先の調査を産業別にみると、「教育,学習支援業」では女性が84.3%と全体平均以上なのに対し、男性は4.65%と平均以下である。
もちろん万人が1年もの長期育休を取得できる環境ではないだろう。多くの職場で出産や育児に直面するのは私と同様、地位や役職の高くない若手世代で声を上げづらいかも知れない。前例がない場合は尚更、自身がファーストペンギンとして道を開拓するのは高難度だとも思う。
しかし、少なくとも出産は自身のキャリアを棚卸しするきっかけを提供してくれる。
道を切り拓くのも大人の仕事
人材育成はCareer Development(キャリア開発)ともいう。働き方改革が叫ばれるなか、教育関係者自身が働き方を発展させることは、道(キャリア)を切り開く(開発)ことにつながる。子どもたちに道を示す案内人が教育関係者であるならば、教育関係者の試行錯誤や率先垂範ほど子どもたちへの教材になるものはないのではないだろうか。
育児に理解のある上司(イクボス)も大事だが、育児に踏み出す若手スタッフ(イクスタ)も同じくらいに大事である。若い男性教育関係者にとって、育児スタートのためのハードルが少しでも下がれば幸いである。
高部 大問(たかべ だいもん) 多摩大学 事務職員
大学職員として、学生との共同企画を通じたキャリア支援を展開。本業の傍ら、学校講演、患者の会、新聞寄稿、起業家支援などの活動を行う。