こんにちは、都議会議員(北区選出)・あたらしい党代表のおときた駿です。
昨日は都議会本会議・中途議決が行われ、私も採決前の討論に立ちました。
都議会「補正予算」の仕組みや中途議決については、いつものように会派総会(やなチャン)で解説致しましたので、こちらも合わせてご覧くださいませ。
今回の中途議決においては、2011年以来およそ8年ぶりとなる「記名投票」が行われました。
2008年には「新銀行東京」に追加資金を入れるかどうか、2011年には新銀行東京と市場移転問題に対する調査を継続するかどうかで記名投票になったらしく、都政を左右する重大事項の際にはこうした記名投票が行われる傾向にあるようです。
【築地市場跡地に関する議案への記名投票結果】
賛成75、反対50
■賛成
都民ファースト49名(議長を除く)
公明党23名
東京みらい3名
■反対
自民党23名
共産党18名
立憲・民主クラブ5名
維新・あたらしい・無所属の会2名
ほか生活者ネットワークなど無所属2名
記名投票に意味があるのかと言われれば、造反可能性がない時はそれほど意味のないことだと思いますけども、想像以上に反対票が多いという印象を持ちました。
これまでブログ等で述べてきた通り、この議案は様々な案件が「パッケージ」にされたものです。私たちも最後まで賛否については迷いましたし、他の多くの会派もそうだったと思います。
小池知事が少なくとも「基本方針の転換」を認め、真摯に説明責任を果たしていれば、これだけの数の反対票が投じられることはなかったのではないでしょうか。
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中途議決は終わり、「移転問題はこれで完了」と言われると寂寥感もありますが、築地再開発プランの議論はこれからも続いていきますし、予算特別委員会はむしろこれからが本番です。
引き続き、小池知事が提出した予算案と「東京大改革」の進捗状況については、是々非々の立場で厳しく対峙をして参ります。
なぜかやながせ幹事長がアップしていたオマケ動画を貼り付けつつ、以下に討論全文を掲載しておきます。これまでの論点をすべてマージしましたので、ご一読いただければ幸いです。
それでは、また明日。
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私は維新・あたらしい・無所属の会を代表して、第93号議案・第97号議案に反対、その他全議案に賛成の立場から討論を行います。
本補正予算議案には、築地市場跡地を有償所管換えする補正予算だけでなく、都政運営に関わる他の事案もパッケージされた議案となっています。我が会派が賛同しかねるのは、築地市場跡地の有償所管換えに関する部分だけであり、議案ごと反対せざる得ないことは不本意であり、このような形で議案を上程するやり方そのものに大きな疑問が残るということを、まず冒頭に指摘しておきます。
築地市場跡地の有償所管替えそのものは、我が会派もかねてより求めてきたことであり、築地に市場を再整備することが現実的でない以上、やらなければならないことであります。しかしながらそれは知事が、築地に市場機能を残すと明言された基本方針の転換を宣言した上でしっかりと説明を尽くし、築地市場跡地は今後どのようなプランで再開発され、都民負担はどうなるのか、その見通しが明らかにされているという、当たり前の状態であることが大前提です。残念ながら現時点では、そのいずれもが満たされた状況とは言えません。
具体的には、我々の原案への反対の理由は大きく2つ。基本方針の変節に対する知事の対応と、これからの築地再開発プランの不透明性です。
まず基本方針については、繰り返し指摘されている通り、2017年6月20日に小池知事は都議選の公約となる基本方針を発表し、「セリ・市場内取引を確保発展」「築地に業者が戻れるお手伝いをする」などと明言しました。しかしながら、今般発表された「築地まちづくり方針素案」には、そうした文言・内容は一切残っておりません。小池知事の言動や政治姿勢は常に変節しており、その決定的な根拠となるのが、昨年2018年の予算特別委員会における答弁です。その際、私は築地に市場機能を残すのか、残さないのか、はっきりとした答弁を求めて、知事に何度も伺いました。議事録も、勿論すべて残っています。そこで小池知事は、築地に「中央卸売市場」については設置しないと述べてはいるものの、「市場機能」そのものに対する回答を求めると、
「築地につきましては、民間の知恵を生かして将来にとって重要な役割を担う、そんな新たなまちづくりにつなげてまいります」
「市場の関係者の方々が、その中で、いろいろな思いがあるのも十分熟知いたしております。まずは豊洲市場への移転ということを最優先にすべきだと、このことを申し上げているわけでございます。」
などと答弁されています。本定例会のように「近接地である築地に卸売市場はつくらない」とはっきり答弁してません。
つまり、1年前の時点では卸売市場についての明言を意図的に避け、とりわけ地方卸売市場を設置する可能性などを明らかに残しているわけであります。もし、小池知事の基本方針がまったく変わっていないというのであれば、1年前の時点で「築地に卸売市場はつくらない」ということをはっきりと答弁していたはずです。しかし出来なかった、しなかった。これは豊洲市場が開設し、世論や市場業者の反発・ほとぼりが冷めるまでまとうとした、極めて不誠実な態度ではないでしょうか。
2年前の基本方針どころか、1年前の答弁からも小池知事の「基本的な考え方」は完全に変節している。小池知事は世論をごまかそう、騙そうとして確信をもってやっている。にもかかわらず知事は、頑なに自身の方針転換・変節を認めないばかりか、市場業者や築地文化に寄り添ってきたとの発言を繰り返しており、こうした政治姿勢の中で提案された補正予算案に、軽々と賛同することはできません。
また、築地まちづくり方針素案については、有識者会議などの、いわば「派手な」部分こそ公開の場で行いましたが、それを取りまとめる肝心の庁内会議はすべて非公開で行われており、議事録すら公開されません。途中経過は水面下で行われ、上がってきた時には決まっている。これこそまさに、小池知事が従前から批判をしていた「ブラックボックス」な意思決定であり、その中で市場機能などの重大な選挙公約が消えていったことも、看過することはできません。
そしてもう一方の、築地再開発プランについても、「市場会計で保有する」「賃料約160億円を継続的に生み出す」「都民の税金を投入することはしない」とされていた基本方針から大きく様変わりし、その見通しは極めて不透明です。「民間の力を活用する」というのは聞こえが良いものの、定期借地の詳細すら決まっていない段階で手が上がるのか、どれだけの賃料が見込めるのか。再開発における収益性や公益性を、現在示されているプランから判断することはできません。いわゆるハコモノを行政が運営することになり、土地の代金ばかりかランニングコストまで負担する可能性も考えられます。
土地を一般会計が等価で手に入れるだけだという説明もありました。ですが、なぜそれを「今」行わねばならないのかについては納得の行く説明がなく、いずれにせよ都税が現金として支出されることは間違いありません。その支出先である市場会計は赤字運営が常態化しており、具体的な解決策は明示されていない状態にあります。土地と引き換えに支出した都税が、結果としてその赤字補填のため使われることになり、手に入れた土地から収益を発生させる見通しもないというのであれば、これはまさに知事が懸念をしていた通り、「新たな都民負担が生じる」ということに、ほかならないのではないでしょうか。
また、補正予算案として計上したのは、一般会計が膨張して東京富裕論を招かないためとの説明についても、「等価交換」するだけであれば、東京富裕論を打ち消すことはできないはずです。本議案をこのタイミングで、中途議決の補正予算として通すために構築された知事と東京都のロジックは、いずれもすべて、完膚なきまでに破綻しております。
築地再開発を未来への「投資」と割り切って、一定の都民負担の発生を容認するのであれば、それはもはや新たな政策方針であり、基本方針を撤回した上で、改めて都議会・都民に示すべきであります。
こうした状況を踏まえ、我々は現時点で議案の賛否を決めることは困難との立場から、財政委員会において継続審議を提案いたしましたが、残念ながら賛成少数で否決されました。続いて、他の都政運営に影響を及ぼさないため、築地市場跡地を有償所管換えする費用のみを減額する修正案に賛同しましたが、こちらも賛成少数で否決をされ、本日の議決を迎えました。
以上の申し述べてきた理由から、有償所管換えそのものは、いずれかのタイミングで行うことが必要であると考えているものの、現状でその賛否を出さねばならないというのであれば、到底賛成することはできません。都民との約束である公約がいとも簡単に破棄され、将来の費用対効果は不透明。このような状況で本議案を可決することは、将来の都政に大きな禍根を残すものであると断言いたします。
維新・あたらしい・無所属の会は、これから続く予算特別委員会の審議におきましても、都民に約束した「東京大改革」が実行されるかどうかを厳しく問いただし、是々非々の態度で小池知事と予算案に対峙していくことを表明いたしまして、討論を終わります。
編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2019年3月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。
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