人口減少社会の日本ではシャッター商店街や空き家はもう珍しい光景ではなくなりました。
こうした問題に少しでも貢献したいと考え、実は私は一般社団法人 全国空き家バンク推進機構(ZAB)の理事を務めています。
通称ZABは2年前に発足しました。理事長は佐賀県武雄市で市長を務め「アイディア市長」「改革市長」と言われ、多くの実績を残してきたた樋渡啓祐さんです。他にも、行政経験者や首長経験者、学識経験者、民間企業経験者などでZABの理事が構成されています。また事務局には行政の職員も関わっており、バラエティに富んだ顔ぶれになっています。
ZABがやろうとしていることは、「空き家の所有者」と「それを利用したい人」のマッチングです。さらに言えば「人が住まなくなった空き家」だけでなく、「空き地」「商業施設跡地」「さらには使用しなくなった公共施設」「廃校」など、現在使われていない場所を「空き資源」と捉え、有効に活用しようということです。とは言っても、「空き資源の所有者」が活用しようと考えなければ始まりません。他人が出しゃばればそれは余計なお世話です。しかし、所有者には日々の仕事があり、四六時中空き資源について考えることが出来ない人が多いです。
駅前など立地条件の良い空き資源は、不動産屋さんに預ければ借り手を見つけるのは容易ですが、それ以外はなかなか利用者を見つけることが出来ず、空き資源が手付かずになっているケースがほとんどです。
そこでZABは行政と連携して、再活用の具体的な事例作りに取り組んでいます。例えば、大分県別府市の温泉地域にある空き旅館を活用して何かできないか、あるいは福岡県うきは市にある廃校を活用しようと、行政と地域住民、そしてZABも参加して、アイディアを出すワークショップを開催しています。
秋田県北秋田市では空き施設を国内からの教育留学に使えないかと、具体的な検討が始まっています。
空き資源は何もしなければ何も生み出しません。しかし、利用者側としてはコストを抑えて何かを始めるにはもってこいです。空き資源が街中に増えていけば、見た目からも地域の活力が落ちていくことに成り兼ねません。
もし、新しい空き資源の利用方法が見つかれば、そこがキッカケとなり近隣の空き資源でも新しいアイディアが生まれ、地域活力の活性に繋がると思います。
こうした事例を増やすことで、空き資源の利活用のイメージが膨らみ、空き家バンクとしても物件が増え、利用希望者とのマッチングが進む、このように良い循環に繋げたいです。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年3月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。