マネーの話:どうしたら増えるだろう?

日経ウーマンに「資産1億円超え女子 マイルールを決めて投資で増やす」とあります。1億円ですか?世の中、インフレにならないと言われていますが、投資の世界では1億円という声が日本でも聞こえてくるほどインフレになっています。

日経の記事もなんとなく見ていると外貨預金の手数料が無料になる記事やインフレに勝つ老後の資産形成といった老若男女問わず、いかに資産形成をするかが大きな関心ごとになっているようです。かつては「お金の話を人前でするな」と言われたのですが、これは昭和の話。私は学校教育の一環でマネーの授業をすべきだと思っています。

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お金にお金を稼がせる、これが投資の基本でありますが、一般的には預金利息、株式/為替、不動産が個人の資産形成には入り込みやすいものかと思います。これをうまくやると1億円という資産形成もできるのかもしれません。

ちなみにブルームバーグには「富裕層が多く住む世界トップ3はロンドン、東京、シンガポール」という記事があり、資産が3000万ドル(33億円)を超える人はロンドンが4944人、東京が3732人、シンガポールが3598人、ニューヨークが3378人とあります。他の都市はその半分以下です。この記事のソース、Knight Frank, The Wealth Report 2019がどれだけ正しいかは別として東京は世界2番目でやっぱり金持ちの都市だと改めて感じています。

ただ、日本の金持ちの多くは不動産に資産が偏っており、手元キャッシュという意味では案外余裕がなかったりする富裕層が多いと言われています。富裕者がお亡くなりなっても不動産ばかりで相続税が払えなくて、という話はよくあることです。言い換えれば昔の土地持ちの方の資産が勝手に増えたというのが実態で冒頭の記事のように運用してお金を増やしたとは言い切れないかもしれません。

さて、積極運用で資産を増やすなら何がよいか、ですが、基本的には株か海外での運用になると思います。日本の不動産はREITを介して商業施設などリターンの高いものならともかく、素人がアパート経営をして財を成す時代ではありません。為替は私には難しすぎて対応できません。

では株式投資についての私の方針です。日経ウーマンの記事のコメントを取り上げながら考えてみます。

株価が上がってきても、配当金が増えなければ売りを考える

これはよいポイントをついてます。配当株(配当率がよい株式)の場合、購入した株から得られる配当金と今売却した際のキャピタルゲインを割り算して何年分の配当を先にとれるか計算します。3-5年分の配当をキャピタルゲインで先取りできるなら私は売ります。

北米の配当株は往々にして業績アップ→配当アップ→株価上昇を繰り返します。日本株は配当が下がりやすいけれど上がりにくい傾向があると思います。配当性向もまだ低いです。更に北米株には特別配当がしばしば来ます。何か大きなディールがあった際や予定よりも儲かった際に株主にかなり大盤振る舞いをするのが北米ルール。私が長く投資しているある銘柄は公称の配当率は4%程度ですが、特配が毎年同じぐらい来るので結果として8%になるような銘柄もあります。

「絶対つぶれそうもない」と思える優良企業20社の株だけを持つ

これは個人のポジショニングの問題ですが、私は違うと思います。銘柄を2-30に分散させる中で同様銘柄ばかり揃えても意味がないと思います。バラエティに富むからこそ、キャピタルゲインをとれるタイミングを拾えると思います。逆に言えばリスクヘッジです。優良銘柄は往々にして日経平均と同じような動きをしますので上がるときも下がるときも皆同じになってしまいます。ならば日経平均のインデックスを買った方がまだましです。

保有する株は、株価の上限と下限を決めて売買を繰り返す

これは正しいと思います。ばくち株を別にすればこのやり方は大きくは儲けられませんが、着実にたまると思います。ただし、レンジ相場になる銘柄を選ぶのは簡単そうで案外難しいものです。

含み損は絶対損切りしない。金融ショックのときも回復を待つ

これは違います。キャピタルゲイン課税がある年には損失を抱えている銘柄を売り、税金をチャラにし、フリーズしているキャッシュを動かし翌年に備えるべきです。「金庫株」は信用取引の担保以上の価値はないと思います。

投資のスタイルは個人個人で違います。性格にもよります。限りなくゼロに近い定期預金がそれでも好きだ、という方もいるし、為替が得意な人もいるでしょう。その中でアメリカの株式市場にはいろいろなマネーが入り込むため、一方的な動きになりにくい傾向はあります。日本の新興市場がすぐにストップ高やストップ安を付けるのとは違うのはそのあたりでしょう。その点では一旦北米市場で投資をするとやりやすさは感じると思います。

1億円、宝くじではなく、運用で到達できるかは手法次第だと思いますが年間5%増やすという目標で15年で倍になります。8%なら9年です。安定的に増やすことが何よりです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年3月19日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。