電話営業の無料オファーはすべて詐欺と考えた方がいい

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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平成が終わる直前、3月末に人生で初めて詐欺に遭って、弁護士の先生に対応方法を相談するという経験をしました。今考えてみれば色々と自分の対応に落ち度があったと反省しています。そして、これ以上、他の人が自分と同じ被害に遭わなよう、記事にしておきたいと思います。

タダより高いものはない詐欺の手口

そもそも、どういった状況だったのか?

私は産休する社員の欠員募集のため、ハローワークやネットの求人採用サイトに求人募集の掲載をしていました。するとその掲載を見たという営業電話が会社にかかってきたのです。「当社では新しい人材紹介のサイトを立ち上げましたので、よろしければ試験的に御社の採用募集を掲載しませんか?最初の3週間は掲載無料で、その後は更新しない限りは費用がかかりません」と。

その電話を受けた時、私は最初お断りしました。日々、ものすごく忙しくしており3週間の掲載期間終了前に、わざわざ更新中止の連絡をするのも手間です。しかし、先方はこういいました。「いえ、自動更新ではありませんから、特に更新を希望されない限りは放置しておいてもらえば大丈夫ですので」と。

「それならこちらの手間もいらないし、別にいいかな」、と掲載をお願いすることにしました。その後、メール添付のPDFで契約書が届き、最後の1枚に日付と捺印をするところがあったのでスキャンして返送をしました。その後、1-2回のやり取りを経て、先方は求人募集の掲載をしてくれました。そこまでは何もトラブルはありませんでした。

しかし、その後違う会社から何度も同じように「無料で3週間だけ掲載を」と言われ、「資料だけでもFAXします」と勝手に送りつけられてきます(返送はしていません)。不信感を抱いた私は、ネットで会社名とサービス名をググったところ、詐欺被害者の声が多く掲載されていることに気づきました。慌てて契約書を見ると、小さな字で「解約がない場合は、自動更新され有料プランに移行されます」と電話口とは違った内容が記載されていました。

やられました。どうやら、3週間の掲載期間終了最終日に配達郵便で解約手続き書類を送ってきて、届いた当日に返送し損ねたら、法外な掲載料を請求するという魂胆のようです。はじめから無料期間中に解約させるつもりのない、確信的な詐欺の手口です。

タダより高いものはない、という言葉がありましたがまさにこの言葉を実感する体験でした。

弁護士の先生の見解

メール、電話、FAXを使って解約希望の意思を伝えようとしましたが、そのすべて無視されました。「これは後日、掲載料を請求してくる」と確信した私は、人生で初めて弁護士の先生にアドバイスをもらうという経験をしました。

先生によると、現在春の採用ピークシーズンで、同じ手口の詐欺被害者の相談が殺到しているとのことでした。私は掲載を依頼してすぐに気づいたので、まだ無料期間中です。相手にお金は支払いしていませんから、経済的損失は出ていません。しかし、中には先方から脅しに近いことを言われて支払いをしてしまい、泣き寝入りした経営者もいると聞かされました。

私の場合は、「3週間の無料掲載期間が終了次第、解約をします。有料の掲載には申込みはしません」と一筆書いて配達証明郵便で送れば良い、とアドバイスを受けました。そうすることで、契約の意志がないことを証明することができ、万が一先方が法的措置に講じた場合の対抗策になるということでした。もしも現在、同じ被害にあった人事担当者や、経営者はぜひこのやり方で対応されると良いと思います。

敵ながらこちらの心理をよく理解している

詐欺は反社会的行動であり、断じて許されるものではありません。しかし、敵ながらあっぱれ、こちらの気持ちをよく理解しています。

春のシーズンは人の出入りが多く、私の会社でも家族の転勤に伴う退職や、産休などで立て続けに休職、退職者が出てしまいました(うちの会社に不満で退職する人はいません笑)。空前の人手不足の昨今、代わりの人がなかなか見つからない中、夏の繁忙期や10連休のゴールデンウィークは待ってくれませんから、かなりの焦りがあります。

そんな中、「無料掲載で人手不足解消を」と持ちかけてくる、蛇の甘言についつい耳を貸してしまいました。敵ながらこちらのほしい気持ちを刺激し、普段から絶対に耳を貸すはずのない話を耳に入れてきたのです。

私の元にもコレに限らず、様々な詐欺に近い営業電話がかかってきます。以前は「一切無料ですから」と電話回線工事契約を持ちかけてきた会社がありましたが、会社名を言われると気にわざと聞き取りづらく、早口でいったように感じたので、電話をしながら相手の番号でググったら「無料の電話工事を持ちかけ、後日数十万円を請求する」という被害者の会が作られていました。本当に油断もすきもありません。

営業電話の被害者にならないためには、次の点に留意する必要があります。

  • 電話で甘い話は持ち込まれることはありえないこと。
  • 相手の会社名と電話番号、そしてサービス名のすべてでググって、ネットの情報を参照すること。
  • 電話営業と分かったら相手の話を聞かない。

私も今回の件でよく学びを得たので、今後はどんな電話がかかってきても、営業は一切話を聞かないことを決意しました。特に電話営業でもたらされる無料オファーは、ほぼすべて詐欺だと疑ってかかっても損をすることはないと考えます。

もちろん、中にはまっとうにやっている会社もあるかもしれません。しかし、スマホ全盛期の今、エンドユーザーが能動的に必要な情報を取りに行くのが、現代の合理的経済行動といえます。相手からのオファーをすべて断って損をすることはありません。

商品やサービスを提供する会社というのは、

・検索結果上位表示をする。
・広告をだす。
・紹介を受けて仕事を得る。

など「ユーザーから選ばれる立場」にあると思うのです。私自身も複数ビジネスに取り組んでいますが、すべてそのように「ユーザーから選んでもらう」という姿勢で取り組み、収益をあげています。良い商品サービスを持って、適切なマーケティングをすれば、「お客さんの方から売ってくれ」と言われる時代です。

その原則に反して、相手の方から飛び込んでくるということは、「ユーザーから選ばれる立場」に何らかの不満を抱えている理由がある…端的に言えば「売れない商品を売りつけに来ている」と疑って然るべきです。

電話営業で無料オファーをしてくる相手はすべて詐欺、と捉えてしまうことで失うであろうチャンスもあるでしょう。しかし、それ以上に被害に遭う可能性をゼロにできる方が経済的合理性があると考え、今後はすべて無条件でお断りをしようと思いました。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。