今週のつぶやき:実質2分の米韓首脳会談に焦る文大統領

個人的に鮮明な記憶として残ったのがブラックホールの写真。私は高校の頃、天文学に大変興味がありその後、一般相対性理論の解説本なども読んだりして無限の宇宙にロマンを感じていました。

アインシュタインの理論上存在するとされた何でも吸い込むブラックホールとは巨大恒星の生命の終わりです。それがあの写真の橙色の真ん中の空白の重力という想像を絶する世界にあるかと思うと我々の日々のライフなんてちっぽけだなと思ってしまいます。なのに、毎日、いろいろなことに振り回される自分に呆れています。

では今週のつぶやきです。

G20財務省会合の使命

アメリカのワシントンで開かれていたG20は、日本時間13日未明に閉幕した(NHKニュースより:編集部)

主要国の財務大臣と中央銀行総裁が一堂に集まるこの会議がどれだけの意味があるのか、と問えば形骸化しているとほぼ断言してよいでしょう。G20という巨大組織にしてしまったことで利害関係がバラバラで共同声明は漠然としたものにならざるを得ません。

今回共同議長の麻生大臣は今年6月の福岡でのG20、および大阪でのサミットの前哨戦だから共同声明はないということのようですが、これは詭弁だと思います。

初めから共同声明なんてものはまとめるつもりがないし、できない、といってよいでしょう。国連を見てもほとんど機能していません。世の中、多国間会議は纏まらないことばかり。その点、EUやイスラム圏の結びつきはいまだ強いと思います。

そのEU。どこかで読んだなるほどと思わせる話はEUには中心と縁があり、縁の国々、英国、ロシア、ギリシャなどは苦労し、トルコもいつまでたってもEUに加盟できないと。中心はドイツとベネルクス三国(オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ)がドライバー席を絶対に譲らないところに強みもあるし弱みもあります。なるほど。では中国を中心とする中華思想はどうかといえばなるほど日本、ロシア、インド、台湾、フィリピン…いろいろあります。

これは共同体を作るには「皆で手を繋いで仲良しこよし」では絶対に粘着力はないとも言えそうです。ブラックホールのように仲良くしないと吸い込むぞ、という脅しとの闘いなのでしょうか。

人口が減っても気にしない日本人の考え方の理由

日本の総人口が1億2644万人と前年から26万人減っています。これには外国人の純増16.5万人が入っているため、日本人だけ見ると42万人強、0.3%強の減少になります。確かに平均余命は伸びているのですが、無限に伸びるわけではなく、これから10-15年の間に統計想定より減少スピードが速まると個人的には予想しています。

日本人のプライドは日本人の「ブラッド」であります。平たく言えば血統書。同じことは英国人社会にもあり、同国人が異国人、特にアジア人と結婚すると言葉には出さなくても結構冷めた見方をされるようです。そういえば日本人は畜産農産物などの原産にも非常にこだわります。ウナギもできれば絶滅種の日本ウナギが良いと。

なぜそこまで血統にこだわるのか、ふと考えたのですが、これは一般大衆も天皇家のスタイルを尊重しているのではないか、という仮説であります。この考え方が転じて伝統を重んじ、過去に倣うスタイルを生み出しているのかもしれません。日本各地の文化の相違も「おらが村」の考え方で村社会の中で「血統」を作り上げているからかもしれません。若い人は変わってきているのだろうとは思いますが、放置もできない気がします。

焦る文大統領と金正恩委員長

韓米首脳会談:1対1会談は実質2分間、懸念通りの結果に(朝鮮日報)

大韓民国臨時政府樹立100年記念を蹴ってトランプ大統領に会いに行った文大統領。報道によれば実質的直接会談は2分だったとか。トランプ大統領は会いたくないから多分相手が、「その日は都合がつかない」というであろう4月11日を会談の日に設定したはずなのにその真意をくみ取らず、わざわざ実務会議に奥さんを帯同してやってくる文大統領に「やれやれ」と思っているでしょう。

韓国大統領府FBより:編集部

その際に飛び出したトランプ大統領の3回目の米朝首脳会談の可能性を受けて金正恩委員長がなんと1990年以来の施政方針演説で「米国が正しい姿勢で我々と共有できる方法を条件に3回目の首脳会談をしようというなら、もう一度会談をする用意がある」と述べています。何をのたまうか!

トランプ大統領は今では韓民族の特性を十分理解しています。それゆえ、朝鮮半島問題から腰が引けているところですがそれでもいろいろ突っかかって来るこのお二人の扱いに辟易としているのが目に浮かぶようです。

文大統領も金正恩委員長も焦る理由がそれぞれ微妙に異なりますが、シナリオ通りにいかないもどかしさ一杯でしょう。北朝鮮の体制をめぐる点ではきな臭い動き、反体制派による政府転覆の動きも出てきており、アメリカとも通じているとされます。もしかすると今のスクラッチのような両者動かず、という状態が一気に動く可能性も無きにしも非ずです。ここは水面下の情報と動きの読みがキーになりそうです。

後記

ネガなニュースは嫌なのに大和ハウスの建築不適合2000軒、スズキ検査不正200万台、JDIが台湾中国の傘下といったものがずらりと並びます。ビジネス関係で唯一まともなのがソフトバンクの株価が2000年のドットコムバブル以来の高値を付けたことですが、孫正義さんも「血統書」がないので「頑張ったね!」という報道にはなりません。最近のニュース、よく見ると本当に寂しいです。日本はこのままでは生き残れません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年4月13日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。