マネジメントでモチベーションアップに腐心することはムダ

人材育成は会社にとって永遠のテーマ。経営者は業績に寄与する人材を常に嘱望しているものだ。適材がいなければ外部から調達しなければいけない。しかし、プロフィールや実績が充分であるはずの人材がまったく役に立たないケースは少なくない。

個が確立された組織であればプレイヤーでも問題は無い。しかし役職者になり人を動機付けて動かしていく立場であればプレイヤーとしての能力以外に、プラスαが必要になってくる。プラスαの部分とは部下に対してのマネジメント力のことである。

現代は、マネジメント力の有無によって管理職の資質が問われている。たとえば、部下に
気持ちよく仕事を引き受けてもらうためには「部下の立場になって依頼すること」が必要になる。自分の都合で仕事を依頼するのはマネジメントの性質上好ましくない。

そのためには、部下の状況を確認し仕事を受けられる余裕があるかを確認することが大切になる。このときに無理にやらせるとコミュニケーションギャップが発生してしまう。依頼をするときには、明確にはっきりと依頼内容を伝えることである。

まわりくどい言い方ではなく端的に伝えたほうが効果的である。もしその時点で部下が抵抗したら丁寧に話し合うことも大切である。そうでないと、部下のモチベーションが減退してしまう。しかし、モチベーションアップに躍起になると失敗する。

モチベーションはスイッチを入れない限り高まらないことからである。モチベーションが低い人には任せないのではなく、モチベーションが低くても任せて成果に結びつけることが必要とされる。モチベーションが高まることで業績がアップするような幻想をいだいている会社が多いが根本的に間違えている。

上司は部下のモチベーションアップに配慮をすることが必要とされる。それは、へりくだったり迎合するという意味ではない。上司として相応しい振る舞いをしながら、当然のごとく成果を創出することが求められるマネジメントの姿といえる。

参考書籍(筆者の新刊紹介)
波風を立てない仕事のルール』(きずな出版)

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員