今回は、『「おふたりさま」の賢いお金のまわし方 DINKSなら低リスク不動産投資で豊かに暮らそう!』(花咲美樹[著]、みらいパブリッシング)を紹介したい。
両親に背中を押されて初物件を購入する
まず、花咲さんの不動産ヒストリーは、身の丈に合わない賃貸タワマン生活から始まったそうだ。大学卒業後、メーカー系商社に入社して3年目。憧れの一人暮らしを始めた。
「初めての自分の城は、駅近でリバーサイド、好ロケーションの公団の賃貸タワーマンション。32階の窓からは東京タワーや都心の高層ビル群、晴れていれば遠く富士山まで見える贅沢な眺望の部屋でした。家賃もそれなり。毎月10万円の出費は、入社3年目のOLには負担でした。家賃を捻出するため、毎月の生活は常にギリギリです」(花咲さん)
「なるべく自炊して食費を削る日々。たまに実家に帰ったときには、食料品をもらって帰ろうとする娘を見て、両親はずいぶん心配していたようです。あるとき、両親が『賃貸はいつまで経っても自分のものにならないから、同じ金額を払うなら購入したほうが良いのでは?』と言ってくれました」(同)
花咲さんは、一人暮らしの負の側面に悩んでいたが、両親に背中を押されるように、20代半ばの若さでマンションを購入することになる。
「初物件は、築30年の中古マンション。50㎡の3DKは、一人暮らしには充分すぎる広さでした。角部屋で三方に窓があって明るく、5階建ての最上階で解放感も抜群。窓から住宅街と青い空が見渡せるこの部屋が気に入りました。他の物件との比較もせずに即決しました。結果的にこのマンションには10年住むことになったのです」(花咲さん)
花咲さんなら地方の戸建て物件を購入する
「地方の戸建て築古物件を狙います。各都道府県の県庁所在地から近い市町村をターゲットにします。このあたりは戸建て物件が安く売りに出ていますし、多少時間がかかっても入居者は入ります。さらに、1000万円程度の融資があれば、地方のアパートを一棟買いします。築古なら23区内でも江戸川区や北区などには安い物件があります。リノベーションして賃貸で回すのが得策でしょう」(花咲さん)
花咲さんは、世間を騒がせた「かぼちゃの馬車シェアハウス事件」の被害者でもある。不動産投資を勧めているくせに投資被害にあうとは何ごとかと思うかもしれない。しかし、この事件の被害者には、大手金融機関や弁護士といった、いわゆる金銭的あるいは法的なリテラシーが高いと思われる職業の人達も含まれていた。
「私は、自分の体験もそのまま公開すべきと思いました。不動産投資はいいことばかりではなく少なからずリスクもあることをお伝えしたかったのです。私の失敗や経験をシェアすることで、あなたの気づきや、きっかけになればと思い執筆を決意しました(花咲さん)」。はからずも、今回、出版という夢を実現させた、花咲さんの前途を祝したい。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※4月19日に『波風を立てない仕事のルール』(きずな出版)を上梓しました。
[本書の評価]★★(69点)
【評価のレべリング】※標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★ 「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★ 「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★ 「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し 「レベル0!読むに値しない本」50点未満