「過剰コンプライアンスおじさん」と付き合ってはいけない

以前は活力に溢れたベンチャー企業が、しばらくすると当初の躍動感を失い、意思決定にスピード感が消えてしまう。自分の周りにある会社でそんな経験をしたことが、これまで何回かありました。

写真AC:編集部

理由は様々でしょうが、過剰なコンプライアンスがその背景にあることが、珍しくありません。

少人数で起業し始めたときは、とりあえず何でもやってみようというチャレンジを尊び、失敗を恐れない企業文化があったのに、人員が増え体制が整うと雰囲気が変わってきます。

組織が整備され、人事、法務、コンプライアンスといった管理部門が力を持つようになってくるのです。

彼らが企業の不祥事などを防止しようと、管理部門が必要以上に過剰な反応をするようになります。

いわゆる「コンプライアンスおじさん」の勢力拡大です(おじさんとは限りませんが…)。

そうなってくると、スピード感が落ち、重箱の隅をつつくような社内からの圧力が高まり、当初にあった企業のフロンティアスピリットを徐々に蝕んでいくのです。

確かに、企業が不祥事を恐れる気持ちもわかります。評判が落ちれば、一気に信用を失い、経営が悪化するリスクがあるからです。しかし、これが限度超えると、逆効果になってしまうのです。

これは企業に限りません。個人でも、せっかく何かにチャレンジしようとしている人に、細かいことにいちいち茶々を入れて、その人のやる気を削いでしまう。

致命的な失敗でなければ、それを寛容に受け入れ、修正するチャンスを与える。そんな社会構造にならなければ、日本全体が世界の中でさらに地盤沈下していくのではないかと危惧しています。

仕事でもプライベートでも「過剰コンプライアンスおじさん」とは付き合ってはいけません。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年5月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。