雅子皇后への過剰な完全復活期待は反動が心配だ

八幡 和郎

新しい皇后がなんとか一連の行事をこなされたことには、関係者はほっとしていると思う。

しかし、完全復調であるような幻想を振りまくマスメディアは新皇后を持ち上げて逆さ落としにする陰謀を企んでいるとしか思えない。

5月4日、即位後初の一般参賀に臨まれた両陛下(NHKニュースより:編集部)

現在の状況について、週刊朝日電子版は『新天皇の令和流アドリブと雅子皇后「完全復活の予兆」宮内庁関係者が明かす一般参賀の裏側』で次のように報じている。

宮内庁関係者によれば、雅子さまは、まだ人と対面したり話すことが難しい場面もあり、女官を通じてやりとりすることも多いという。今回も、一般参賀の全ての回への出席は難しいと見る向きもありましたが、宮殿の長和殿へ6回とも姿をお見せになった。

という状態に過ぎない。期待を持たしすぎるとろくでもないことになるだろう。

つまり、なお、宮内庁の職員とすら話を普通にできない状態なのである。だから、儀式への参列とか、一般参賀のように会話が必要でないときはいいのだが、食事は相手によりけりだろうし、セプションなど不特定多数、とくに、思いもかけぬことをいわれる可能性がある行事は鬼門だ。

また、体調は予想できないから、ドタキャンで欠席することになると失礼な行事は、難しい。陛下(当時は皇太子殿下)が昨年9月にフランスを訪問されたときは、復活をアピールするのはこのうえない素晴らしい機会だったが、同行は見送られた。

あるいは、以前から和服は苦手といわれて、不調の原因になりかねないのだが、秋の即位礼の前後にはパスできない行事が多いので、心配である。

いずれにせよ、10年以上にわたって公務の一部しか果たせない状態が続いてきたのだから、いつなんどき、このましくない事態になることもありうるのだから、無理をされないことが何よりだ。

いまは、大きな破綻が起きないように最大限に安全運転していただきたい。出席行事もしぼるべきだし、時間も短縮する、これまで着物だったからといっても洋服でいい、髪型なども伝統的なものに拘らないなど躊躇なく決断すれば良いと思う。

ただ、できることなら、どこかで、公務が十分にできないことについて、ご自身、陛下、あるいは、ご両親などが遺憾である旨を仰るに越したことはないと思う。これまで雅子様の周囲の人が、雅子様が被害者だと思っているようなニュアンスの言動をされたことがあったことは、あまりいいことではなかった。原因がなんであれ、病気で仕事などが十分にできなければ、ごめんなさいというのが日本の習慣だからだ。

国民がそろって、皇后陛下に「無理はされないように、お大事に」という気持ちになることがいちばんいいのであって、過度の期待をすることはいちばん皇后陛下を追い込むのでないか。

また、愛子内親王を悠仁様を廃嫡して天皇にしようなどという企みは、泥沼の愛憎劇と壬申の乱的な対立につながるもので、そういうことを両陛下がお望みになるとは思えないのである(といっても将来の天皇に自分の縁のある方がなるほうがよいとおもって企みをするやからはいるだろうが)。

一方、悠仁様の帝王教育は、かなりの部分、両陛下の仕事であることも忘れるべきでない。