不登校Youtuber君は不良少年か?それとも天才児か?

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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10歳の不登校YouTuber、中村逞珂さんが話題になっています。彼は「少年革命家 ゆたぼん」と名乗っており、YouTuberとして活躍されています。ネットでは彼の主張を叩く声で溢れていますが、脳科学者の茂木健一郎さんは中村さんの心意気を支持しており、賛否両論分かれています。この件について思うことを書いてみようと思います。

学校は大事だが、すべてではない

小学校の時から不登校を公言する中村さんほどではありませんが、私も中学、高校はほとんど登校しませんでした。ですので、「学校は大事だ。だが、子供にとってのすべてではない」と強く感じるところがあります。私自身、中学・高校時代にほとんどまともに学校に行かなかったことで、とても大きなメリットが享受できたと思う点があるからです。それはクラスメートによる、同調圧力という精神汚染をされずに済んだ点です。

学校は確かに大事です。日本国憲法には「教育の義務(26条2項)」が定められており、四の五の言わずに国民の義務を果たすことが「解」と言えるのかもしれません。人間はゼロで生まれて、生後に知識や経験を獲得して独力で生きていく力を付けていくという、他の動物にはない特異点があります。

シマウマは生まれて数分後には群れと一緒に走ることが出来るのに対し、人間は生後からかなりの年月を経るまで独力で生きていくことは不可能です。社会で生きていく上での力をつけるために、学校教育を受ける重要性はよく理解できます。

しかし、子供はどうしても人生経験が少ないので視野狭窄になりがちです。時々、学校のクラスメートの輪に入れてもらえず、SNSの村八分から自殺をしてしまうケースを耳にすることがあります。大人が聞くと、「学校だけが人生のすべてではないのに」と命を絶つことを悔やむ気持ちになりますが、それだけ子供にとっての学校は大きな地位を占めるということです。

そんな学校を不登校で済ませてもいい、という少年の挑戦は多くの人にとっては格好の嘲笑の対象に思えるかもしれません。しかし、私にとっては大いなる勇気を持った挑戦に感じるのです。

学校で潰される才能

学校という機関が詰め込み型の教育と、社会の協調性を育む場所であることは疑いようもありません。私は「教育とははじめに詰め込みありき。詰め込みなくして、創造はありえない」という強い信念を持っています。日本が世界の中で科学技術立国と呼ばれてきた(近年は警鐘が聞こえてきますが…)のは、江戸時代において、高い識字率を堅持した寺子屋の存在からも分かる通り、基礎を徹底して詰め込む学習形態にあると思うのです。

私個人的には、学校教育は支持したいと思っています。ですが、同時に突出した能力を持つ人から牙を奪い取り、野生の動物が動物園でおとなしくなってしまう機関とも考えています。学校は子供を大人にする力はありますが、天才を凡人にしてしまうのも学校という機関でもあると思わされます。

エジソンは学校に合わず、早々に中退して独学で世界を変える発明を生み出し続けました。それはひとえに学校で常識を教わらなかった事によります。もしも、エジソンが日本の学校教育を受け続けたとすると、白熱電球を生み出すことは出来なかったと考えます。

不登校が天才を維持する

また、世界に名を残す天才でなくても、そうした例は個人的にたくさん見てきたつもりです。お付き合いのある億を稼ぐ社長や投資家の中には、世界トップ校のMBAホルダーもいる一方で、まともに学校にいかない中卒、高卒もいます。学校にいかなかったことで、突出した能力は尖りに尖って、その能力でご飯を食べている人がいるのです。

たとえば、知人のネットビジネスで億を稼ぐ社長は、一言で言えば「クレイジー」です。世間話すらまともなキャッチボールにならないのですが、彼は人の心を動かす、とてつもなく情熱のこもった言葉を紡ぎ出す能力を持っています。国語の授業という枠にとらわれない、アツい言葉は紛れもなく彼の才能であり、国語の成績でトップは取れないかもしれませんが、絶望を感じた人間に魂を吹き込む言葉の力を持った魔術師のような人間です。彼は常識に染まらない言葉の力で大金を稼ぎ続けています。

彼は学校に行かなかったからこそ、その魔術がおとなになっても使える状態を維持できているように私には思えます。学校は非凡を凡人にする力はあっても、天才を凡人にしてしまうこともまたあるのです。

子供YouTuberの評価を決めるのは「市場」

中村さんの活躍の評価は個人が辛口コメントを飛ばさなくても、動画の再生回数という「市場」からの評価により、公正かつ厳しい結果が突きつけられます。うまくいくかどうか?それは私には分かりませんし、それを偉そうに評する立場にもありません。

一つ言えることは、彼は間違いなく他の子供よりも成長するということです。学校の勉強では差がつけられるかもしれませんが、子供時代から市場を肌感覚で付き合うことになるので、その結果に耐えて、日々自分で考え、自らをアップデートし続ける事が出来るならば、彼は他の子供と比較にならない成長をすることでしょう。

問題は子供の精神力でそれが出来るかどうか、という点です。普通は不安に押しつぶされて学校という社会に戻っていくことを選択するでしょう。しかし中村さんを見ていると、あれだけ声高に宣言をしている度胸があるのですから、いけるのでは?と期待をしてしまいます。

私が彼に対してできること、それは陰ながら応援することです。周囲が何を言おうとも、彼は自分がそうしたくてやっているわけですから、温かく見守り、応援したいと思っています。頑張れ!中村くん!

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。