4月の大阪ダブル選挙で維新が圧勝し、大阪都構想をめぐる反維新勢力の出方が注目される中、公明党の大阪府本部が11日、2023年4月までの住民投票実施を容認する方針を正式に表明し、2度目の住民投票が実施される公算となった。
一方、ダブル選など4月の選挙で惨敗した自民党大阪府連はこの日、新たに府連会長に就任した渡嘉敷奈緒美・衆議院議員(大阪7区)が記者会見で「今回の民意を受けて住民投票は賛成したい」と表明。報道各社で速報された直後は、維新と激しい対立を繰り広げてきた大阪自民の「方針転換」と受け止められ、ネット上では維新関係者や維新の支持者などから驚きの声が上がった。
自民も「住民投票容認」表明 大阪都構想、公明に続き:朝日新聞デジタル
報道各社の記事では、渡嘉敷氏の発言は「従来のやり方では市民、府民の理解が得られなかったのは明確」「負けは神様がくれた贈り物」などと、解党的出直しを誓う「大胆」な内容が伝えられていた。
ところが、この渡嘉敷氏の発言は「事前の会合でそんな話は全くなかった」(府連所属の国会議員)といい、午後6時過ぎの朝日新聞の速報からわずか3時間後には、産経新聞が自民市議が「府連はもう終わりや」と猛反発する内部事情を伝える始末。
自民の川嶋広稔・大阪市議はFacebookで、
本当に、自民党大阪府連が組織としてこのような判断をするならば、それは自民党大阪府連の「終わりの始まり」ではなく、自民党大阪府連の「終わり」になるのではないでしょうか。
都構想が実現したら大阪市民が歩む道は「茨の道」です。
などと徹底抗戦する姿勢を示し、維新に歩み寄る姿勢を見せた渡嘉敷氏らに対し、「出て行かれるべきは、維新と同化したい方です」などと暗に離党を促しているとも取れる発言までしている。
一方、前述の産経新聞では、“敵将”の松井一郎維新代表から「自民の市議団、府議団からそんな話聞いたことない。渡嘉敷さんにどれだけのガバナンス(組織統治)力があるのか」などと見透かされる発言が伝えられた。
維新の行政改革のブレーンを務めてきた上山信一氏は、ツイッターで、「家業の廃業の危機だからたいへんだろう。自民を出て『大阪市を守る会』とか『反維新の会』など新会派つくるのが筋」などと、「反渡嘉敷派」を皮肉った。
他にも維新シンパとみられるネット民からは、
これまでの選挙結果を考えると、渡嘉敷さんの路線が現実的。住民投票自体反対なのは、市議の保身にしか見えない。
「常勝関西」6選挙区というアキレス腱を抱える公明が焦って先行、自民も慌てて組織内で十分な根回しをせずに追随したからです。
などと呆れ気味な意見もあった一方で、
維新と自公が連携すれば、東京を凌駕する令和の大阪となろう。
と融和に期待する声もあった。
これに対し、自民寄りとみられるネット民からは、
新会長の暴走だったの?こんなのが新会長じゃあダメだね。
市長選の柳本47万票を丸ごと無視し裏切るんか。
などと維新に反発する意見がみられた。
公明党や渡嘉敷氏の「融和」路線の背景には、夏の参院選が衆院選とのダブル選になる可能性が出てきた影響との見方が強い。維新は4月の衆院大阪12区補選で自民候補らを破って勢いを見せつけ、創設者の橋下徹氏が、公明党の現職がいる関西の6選挙区に「刺客」候補を立てるシナリオをテレビ番組で公言するなど、露骨に揺さぶりをかけており、大阪の政局は国政の動向とも連動して混迷に拍車がかかっている。