個人金融資産の最善の防衛策は、やはり「借金」

日本経済新聞電子版に「令和財政 大戦時より深刻」という見出しで、上級論説委員の大林尚氏が骨太の記事を書いています(図表も同紙から)。

(日本経済新聞電子版から)

確かに、第2次世界大戦後までの日本の財政赤字の対GDP比の動きをグラフで見ると、今の推移と酷似しています。グラフの形が似ているだけなら良いですが、これから昔と同じことが繰り返される可能性は無いのでしょうか。

終戦後の積みあがった債務は、超インフレをもたらし、政府は預金封鎖と新円切り替えという方法で、債務の帳消しを図りました。

預金封鎖とは、すべての金融機関の預貯金について、生活費などを除いて引き出しを禁じたことです。そして新円切り替えとは、古いお札(旧日銀券)の価値をゼロにして金融機関が回収。新たに発行した新日銀券のみを使用するという対応です。

最近、現代貨幣理論(MMT)と呼ばれる財政赤字に関する新しい理論が話題になっています。MMTでは、自国通貨の発行権限を持つ政府は、インフレにならない限り、政府は自国通貨建てで借金し、財政赤字を膨らませてもよいと主張しています。

日銀の黒田総裁は、MMTを否定し、財政ファイナンスがインフレにつながり、最終的に経済に大きなダメージを与える懸念を表明しています。しかし、財政赤字の拡大を続ける今の日本は、まさにこのMMTを社会実験しているように見えるのは、私だけでしょうか。

財政赤字の拡大が続けば、最終的な解決はインフレしかありません。だとすれば、今日本人がやるべき最善の資産防衛術は「借金」だと思います。

私自身既に10億円以上の借金をしていますが、更に借入を積み増そうとしています。一見危険で無謀に見える方法ですが、セミナーに出た個人投資家の中には私の考え方に共感し、同じポジションを取る人が増えています。

6月に開催されるこちらのセミナーや、こちらのセミナーで、資産防衛を実践している人たちの具体的な方法を是非聞いてみてください。

日本人にとって最も危険なのは「根拠なき楽観」です。預貯金があれば大丈夫という発想こそ、その最たるものだと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年5月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。