粛清された北の幹部は生きていた!韓国メディア誤報で赤っ恥か

韓国・朝鮮日報が5月31日付で「粛清」されたと報じられた北朝鮮の幹部らについて、北朝鮮メディアが3日以降、新たな動静を報じ、誤報だった可能性が高いことが日本のネットでも話題になっている。

金正恩氏とのマスゲーム観戦が伝えられた金与正氏(左、朝鮮中央通信より引用)

朝鮮日報は、「北朝鮮の事情に詳しい消息筋」の話として、2月の米朝首脳会談が決裂した責任を取らせようと、北朝鮮が、実務交渉を担当していた金赫哲(キム・ヒョクチョル)国務委員会対米特別代表らを処刑し、金英哲(キム・ヨンチョル)労働党統一戦線部長が政治犯収容所入りしたなどとする情報を掲載。また、米朝会談にも随行していた金正恩・朝鮮労働党委員長の実妹、金与正労働党第1副部長が「謹慎中」などと報じた。

米朝首脳会談決裂で金赫哲氏は死刑、金英哲氏は労役刑(朝鮮日報日本語版 5月31日)

しかし、北朝鮮の朝鮮中央通信は3日、粛清説の出ていた金英哲氏が金正恩氏と共に、2日夜の芸術公演を鑑賞したと報道。さらに4日になって、同通信は、金与正氏についても金正恩氏とともにマスゲームを観戦中の写真を配信した。

これを受け、北朝鮮の政治・外交・軍事が専門の宮本悟・聖学院大学教授はツイッターで「ほれ、見たことか!謹慎中と朝鮮日報が報道していた金与正まで出てきたじゃないか!そもそも朝鮮日報だけではなく、韓国の新聞は飛ばし記事が多い。ソースを確認できないものは眉唾なんだよ」と手厳しく指摘した。

粛清説については当初から宮本氏もツイッターで「情報ソースの信用性がかなり低い」(1日付)と述べていたが、他にも複数の専門家が懐疑的な見方を示していた。コリアレポート編集長の辺真一氏は、当初の報道直後、ヤフーニュース個人に「「北朝鮮処刑・粛清報道」はスクープか、誤報か!」と題した記事を書き、

韓国政府当局も、米政府もまだ追認してないことから現状では「未確認情報」あるいは単なる「説」に過ぎない。

北朝鮮が金英哲部長を更迭させたのは、トランプ政権に対してポンペオ国務長官を米朝交渉の場から外すよう求めていることと関係しているようだ。…(中略)…北朝鮮はポンペオ国務長官を外させるため先手を打って、金部長を外したとみることもできるのではないだろうか。

金与正氏の長期不在は異例でもなければ、今回に限ったことではない。

などと指摘していた。

朝鮮日報は、けさになって、韓国情報機関のあるOBとして「金英哲氏に対する処罰が早期に終わったのかもしれないし、あるいは国際社会の目を気にして革命化措置中の金英哲氏を直ちに呼び戻したのかもしれない」などの見方を示す報道をしているが、辺氏も続報でこの記事を論評。

過去にも朝鮮日報が北朝鮮幹部の動静で誤報を出して「赤っ恥」をかかされた経緯に触れた上で、

今回も朝鮮日報の記事が「捏造」ならば、北朝鮮はどこかのタイミングで金革哲特別代表を出して来るだろう。出せなければ、逆に「朝鮮日報」の記事は外れではないことの裏返しとなる。

と今後の「見所」を指摘した。断定こそ避けているものの、記事のタイトルが『韓国発「北報道」はなぜ誤報が多い?「書き得」の「悪習」に原因』と題したあたり、朝鮮日報の誤報の可能性が強いと見ているようだ。

アゴラでも、金英哲氏が4月下旬、「対外交渉責任者から外された可能性」を韓国メディアが報じられた際、元空自情報幹部の鈴木衛士氏が「更迭という類の人事ではない」と断言していた。八幡和郎氏も今回の報道を当初から疑問視しており、金与正氏の動静が伝えられた4日、Facebookで「金与正も登場して韓国情報は無価値であることをまたも立証。ソウルからの北情報は妄想を脱北者が述べただけなのが普通だ」と酷評した。