こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。
昨日の一般質問に続きまして、今日は経済港湾委員会の質疑がありました。
一般質問の様子は、斉藤れいな都議、森沢きょうこ都議がそれぞれブログで書いてくれているので、ぜひご覧ください。
斉藤れいな都議「二度目の一般質問、東京の未来を見据えた9分間の質疑を行いました。」
森沢きょうこ都議「一般質問の渾身の9分間~認証保育所活用、動物愛護、東京文化会館、不登校児童支援等」
今日の経済港湾委員会で質疑したのは、青梅畜産センター改築工事に関するもので、質疑を通じて都のアニマルウェルフェアについての考え方を問うものでした。畜産業の将来展望や都民の家畜動物に対する意識に訴えかけるものがあれば嬉しいなと思いますので、以下、全文を掲載させていただきます。
青梅畜産センター改築工事について
先日、青梅畜産センターにお伺いし、現地を視察させていただきました。足を運んで分かったことは、設立当初と現在で、求められる機能が変化してきたことも念頭に、今般の改築計画を見ていく必要があると考えるところです。
Q1. 今般の改築によって図られる各種機能向上の背景にある、青梅畜産センターに求められる役割についてお伺いします。その際、設立当初と現在の変化も踏まえてお答えください。
A1. 青梅畜産センターでは、トウキョウX、東京しゃも、東京うこっけいの3種の東京ブランド畜産物の供給拠点として、生産に必要な種畜等の維持・配付に加え、畜産農家への技術指導を実施している。
これらの東京ブランド畜産物に対する消費者の需要は年々高まっており、本センターの種畜生産能力の増強が求められてきている。
また、近年では、国際的なヒト・モノの流れが活発になる中、海外からの家畜伝染病の進入リスク等が高まってきており、本センターにおいても、より高度な家畜防疫体制が求められてきている。
ブランド化と防疫という大きく2つの観点が示されたものと思います。実は、私の祖父は小規模ながら牛と鶏を育て、出荷していたのですが、当時の記憶をさかのぼると、常に人と接する環境だったと思います。30年ほど前に当たり前とされたことが今では非常識となっているのだということに気付かされました。また、先日トウキョウXの体外受精に関する報道も目にしました。社会の変化、特に技術革新に合わせた施設運用の必要性も感じるところです。
ただいまのご答弁で、東京ブランドの畜産物の種畜維持を担うという大きな役割が示されました。トウキョウX、東京しゃも、東京うこっけいの3種は高付加価値商品として認識されており、市場でも高価格で取引がなされているとのことです。また、本年度からトウキョウXのブランド強化支援事業として、日本食肉格付協会による格付を導入し、より一層の信頼向上と更なるブランド力向上が図られるとのことです。
スケールメリットの出しにくい東京の畜産業が勝ち残るためには、世界に選ばれる高付加価値な畜産物を生産していく他にないと考えます。そして、その戦略次第では充分に世界と戦えるものと私は信じるところです。そのような観点から、どのような環境化で飼育されたのかという点も非常に重要です。
農林水産省では、2011年に「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」を公表し、2014年には「アニマルウェルフェアの向上を目指して」というパンフレットを作成していますが、指針の認知度も低いのが現状であるといわれています。
Q2. 今般の改築においては、アニマルウェルフェアについてどのような配慮を行っているのか、伺います。特に国の定める指針と比べていかがでしょうか。
A2. 農林水産省は、アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理の方法について、飼養スペースや温度の適切な管理など留意すべき点を指針として定めている。
改築後の施設は、本指針に基づき、給気温度を下げる冷却パネルを採用した暑熱対策等を導入するとともに、指針の基準を上回る飼育スペースを確保することで家畜の快適性により配慮した設計としている。
具体的には、指針では体重200kgの繁殖雌豚一頭当たり、1.15㎡のスペースが求められているのに対し、改築後は、3.4㎡のスペースを確保する。
採卵用のニワトリでは、一羽当たり430~555c㎡のスペースが求められている中、改築後は、一羽当たり900c㎡のスペースを確保する。
特に、スペース面での余裕をもった計画となっていることが分かりました。今回は、豚舎と鶏舎ということですが、この両舎に求められる機能には差異があると思いますので、それぞれ詳しく聞かせてください。
Q3.豚舎について、特に配慮している点があれば教えてください。
A3.子豚は寒さに弱いため、床暖房を整備するなど、腹部の冷えを防止し健康に育つ環境を整えている。また、繁殖雌豚では、群れで生活する際の飼料摂取のばらつきを防止するため、固体ごとに必要な飼料が自動で給餌されるシステムを導入する。
Q4.鶏舎について、特に配慮している点があれば教えてください。
A4.寒さに弱いヒナを育てる鶏舎には床暖房を整備するとともに、親鳥を育てる鶏舎では自動で換気をコントロールし室温調整を行うなど、どの成育ステージでも快適に過ごすことができるような設計としている。
一定の配慮がなされていることが理解できました。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会においても、持続可能性に配慮した畜産物の調達基準で快適性に配慮した家畜の飼養管理が求められており、都として率先してアニマルウェルフェアに配慮した飼養管理の水準の向上を図っていくべきであると考えています。ハード面での工夫は難しいとは思いますが、より良い環境下での施設利用を意識したソフト面での更なる工夫について、引き続き検討を重ねていただきますようお願いいたします。
これまでお伺いしてきたアニマルウェルフェアの取組やブランド化青梅畜産センターでの取組については、畜産業者のみならず、広く都民の皆様にご理解いただくことが、今後の都内畜産業の発展に寄与するものと考えます。これまで「家畜ふれあいデー」などを実施するなどして、PRを行ってきたと伺いますが、防疫の観点から人と家畜が極力接触しない環境もまた重要です。
Q5.今回の改築においては、畜産センターのみを改築するわけではなく、敷地全体の再編整備であると思いますが、今後の計画においては、広く都民の皆様に畜産業をPRすることも心がけるべきと考えますが、見解を伺います。
A5.今回の改築では、家畜防疫の強化を図りつつ、都民の皆様が畜産を身近に感じられるよう地域に開かれた施設計画としている。具体的には、豚舎跡地に新たな広場を整備し、来場者の憩いの場とするとともに、「家畜ふれあいデー」の開催や農業体験を実施するなど、食育や農業・畜産業の理解・促進の場としても活用していく予定である。
今回改築する豚舎と鶏舎のみならず、管理棟や通路の老朽化も進んでおりました。管理棟の改築においては、都内畜産業の情報発信拠点としての機能も強化していただき、都内畜産業の成長により一層寄与する施設とすることを求めまして質問を終わります。
編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年6月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログ『「聴く」から始まる「東京大改革」』をご覧ください。