ライバルと差別化?書店での差別化は手書きPOPが効果的

尾藤 克之

喜久屋書店東急ハンズ心斎橋店にて。書店員“ともさん”の手書きPOP。ツイートはこちら

出版科学研究所は、2018年の紙の出版販売額が約1兆2800億円台になることを発表した。前年実績から6.4%の減少で、14年連続で前年実績を下回る。ピークだった1996年(2兆6563億円)の半分以下に落ち込む見通しとなる。

出版物のなかでもビジネス書は劣化が激しい。質の悪いビジネス書が溢れているのである。簡単に読めてしまう自己啓発や成功本はそのどれもが酷似しており、著者もなんだかうさん臭い人が多い。

筆者も、6月6日に14冊目となる「3行で人を動かす文章術」(WAVE出版)を上梓したが、市場の厳しさをひしひしと感じている。

実は、書店で展開できる施策は限られている。そのなかでも手書きPOPの効果が高いことはあまり知られていない。POPには店舗内で、商品の説明や使い方、価値を伝え、購買を促進する役割がある。著者が持ち込むPOPは宣伝色が強くジャマなものが多いが、店員が用意するPOPはオススメ商品なので選ぶほうにとって役に立つ。

字がヘタでも、文章が苦手でも、POP文字が書けなくても問題は無い。ツイッターに140文字以内で書き込むように「短い文章で的確に書く」ことでPOPは作成できる。さらに、慌ただしい店の中でも、ちょっとした空き時間で書くこともできる。

実際にPOPを書くことで、どのような効果があるのか?いくつかの効果が挙げられるが、おおむね次の3つではないかと思う。
1.お客が目的の商品を探しやすくなる。
2.お客にオススメ商品を強くアピールできる。
3.商品を管理するための目印になる。

しかし、書店でもPOPを書ける人は限られている。実際にPOPを書けるのは10人中1人~2人くらいのものだろう。私は“ベストセラー以外で手書きPOPが置かれている本”があれば注目するようにしている。そこには店員がプッシュするなんらかの理由が存在する。

書店では、よく見かけるPOPだが、他業種では見ることはない。実は、POPを書くスキルは、ニュースレター、DM、チラシなどにも応用できる。リアル店舗だけでなく、ネットショップにも使える。また、自分の書いたPOPによって、売れ行きが伸びれば、何よりもモチベーションアップになる。書店に行かれる際にはPOPに注目してもらいたい。

<参考書籍>
3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)

尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)