老後の資産形成に「2000万円が必要」と指摘した金融庁の報告書に対し、「保険料を徴収してるのだから責任を持ってほしい」と主張する人たちが16日、東京都内で「年金返せデモ」を開催し、ツイッターの呼びかけで集まった2000人(主催者発表)が国に対し「年金払え」などとシュプレヒコールを挙げた。
しかし、デモの模様を報じた時事通信の記事がヤフーニュースで配信されると、コメント欄には批判的な書き込みが殺到。特に記事の中で紹介されたデモ参加者の年金制度の理解度を疑問視する声が続出した。
「老後に備えようにも余裕はない。報告書を引っ込めて解決するのか」と訴えたという2歳の息子と加わった自営業の男性(46)のコメントに対しては、
なんかズレてる。2000万円は厚生年金加入者を対象にしていて、不足額は倍以上になるはず。と言うより、老後にどのような暮らしをするかで金額も大きく変わるのに。「年金払え」という前に、自分がいくらもらえて、それが自分の考えている生活レベルに見合うのか、まず考えてみたほうがいい。
とツッコミ。他にも
あの報告書の支給額21万円は厚生年金加入の会社員の例であって、自営業者が加入する国民年金だけだと支給額ははるかに少ないですよ。打ち出の小槌はありません。負担を増やすか、貯蓄するかです。
といった指摘が見られた。
一方、「生徒から『年金は大丈夫か』と尋ねられても答えに窮する。政府はごまかさず、議論のきっかけにすべきだ」と取材に応えた高校で社会科を教える男性教諭(28)のコメントについては、ヤフーニュース個人オーサーの不破雷蔵氏が言及。
そもそも「年金返せ」「年金溶かすな」「年金払わず2000万円ためろ」などというフレーズが見られますが、これらは年金制度そのものやその現状を理解していない証でもあります。「高校で社会科を教える男性教諭」のお話は、大人として制度を正しく理解せずに子供に教えているのかと、残念感すら覚えます。
などと半ば呆れ気味に評していた。
一方、このデモの党派性に反発する意見も。デモの主催者は、あくまで「年金保障に特化したデモ」と位置付け、ツイッターでは「政党や政治団体名の段幕やのぼり旗等はお控えください」と呼びかけていたが、
しかしデモ参加者の動画には主催者の呼びかけに反して「アベを許さない」と書かれたプラカードを掲げる人もいるなど、党派性が否定できない一面も。
デモの報道に熱心に反応するのも、やはり左派野党の政治家や左派系の有識者、支持者らが目立った。
こうした意見が並ぶことに右派のネット民からは
じゃあ民主党政権の時に誰でも2000万貯められる社会にしとけばよかったじゃないですか。 実際できなかった人たちとその支援者は文句を言うなと言いたい。 デモやる暇があるなら枝野政権作ってみろやと思う。
といった厳しいツッコミがあった。選挙前だけにデモに党派性が多少出てしまうのは仕方ないかもしれないが、年金は国民生活に関わる重要な問題だけに、与野党ともに目先の政局の思惑で動くのではなく、ファクトを正確に認識した上で、建設的に対応すべきではないだろうか。