電子版が普及しても「紙の新聞」を読み続ける理由

日本経済新聞は社会人になってからずっと購読していますが、最近は電子版でも読むことが増えました。ベッドで寝転がったり、出先で気軽に読んだりできるのがメリットです。

そして電子版のもう1つのメリットは記事の保存機能です。気になる記事があると保存ボタンを押せば、いつでも読み返すことができます。紙の新聞しかない頃は、切り抜きをしていましたが、整理が悪いと結局どこに記事があったのかわからなくなってしまうことも多かったものです。

しかし、便利な電子版が出てきても、相変わらず紙の新聞を読む習慣は止めていません。自宅にいる時は朝起きると新聞を持って、近所のスターバックスに出かけ、コーヒーを飲みながら新聞をめくりながら読むのが日課です。

紙の新聞が持つ電子版にはないメリットは2つあります。

1つは紙の新聞には一覧性があることです。慣れのせいかもしれませんが、電子版の見出しよりも紙媒体の新聞の方が、記事の見出しがスッと入ってきて、頭の中にイメージがしやすいのです。電子版の整然と並ぶ見出しよりも新聞紙面の活字の大きさの違いの方が、長年親しんでいるせいか読みやすいと感じてしまいます。

そしてもう1つのメリットは広告です。紙面の下には5段広告と呼ばれる広告欄があって、書籍や雑誌の紹介が掲載されています。今どんな書籍が売れているのか、あるいは雑誌の旬なテーマはどんなことなのか。そんな情報は電子版では得ることができません。だから紙の新聞は記事よりも、下段の広告から先に目に入れるようにしています。

さらに新聞にはチラシの折り込み広告が入ります。これも丁寧に見ていると世の中のトレンドがどこにあるかを知る、重要なヒントになります。

最近、あまり聞いたことのない地場の不動産会社の折込チラシを見つけました(写真)。その会社が取り扱っている中古の一棟ものの売却案件を紹介したものです。従来は大手の不動産会社のものしか見たことが無かったのですが、都内の優良物件が多数紹介されていました。

これは、都内の投資用一棟ものの売れ行きが悪化し、買い手が見つかりにくくなっていることを意味していると理解しました。電子版では気が付かない大切な情報です。

このように日経新聞は電子版と紙の新聞の両方を上手に使い分けることで、1粒で2度おいしい有益な情報源となります。記事の取捨選択は必要ですが、国内メディアの情報源として、私にとってはこれからも欠かせない存在であり続けると思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年6月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。