立教大学が7月6日にマカオ大学と共催で、このようなイベントを開催することを
豪華登壇者による国際シンポジウム 7/6 開催 「ビジネスモデルとしての日本型IR」(立教大学HPより)
内部から懸念の声をあげた、立教大学特任准教授を勤められる稲葉剛先生のTwitterで知りました。
しかもですよ参加費2000円ってありますけど(大学生は無料)、そこを入り口にして、「グローバルリーダーシップ育成プログラム」なるものに誘導し、その育成プログラムはなんと15万円も取るっていうじゃないですか!
ひぇ~、いつから立教大学は、こうまで露骨なカジノ推進派に転じたんですか?
百歩譲って、このようなイベントを大学で開催するなら、カジノ推進派だけでなく賛否両論様々な立場の人を招いて開催するならまだわかりますよ。
でも、これ顔ぶれをみたって、超ど推進派の集まりじゃないですか。
早速BuzzFeedさんが記事に取り上げられ、私のコメントも掲載されたので、こちらの記事も是非お読み頂きたいのですが、
大学がカジノ推進のシンポジウム? 「#立教はカジノに魂を売るな」と学内外から批判の声(BuzzFeed News))
こんなね~、大学でカジノの魅力を語るなんて、まだまだ日本では時期尚早です。
以前当会で開催したラスベガスにあるギャンブル依存症支援民間団体「ネバダカウンシル」さんとの合同セミナーで伺った話しですが、アメリカの大学では、学生課にギャンブルの自助グループ「GA」のパンフレットが置かれていることはもちろんのこと、なんと大学内でGAミーティングが開催されているとのことですからね。
日本の大学がそこまでギャンブルのリスクについても、情報提供できる状態にあるのなら、まだこういったカジノの魅力について大々的なイベントを開催しても理解はできますよ。
けれどもBuzzFeedさんのコメントでも申し上げた通り、今、大学生がギャンブルで潰れて、大学を中退してしまう問題ってものすごく多い中で、何故こんなリスキーなことをやるのか?1ミリも理解できません。
だってギャンブル依存症に立教大学生も罹患しているんですよ!
つまりまだ全然、自分の大学の学生すら予防教育も啓発もできていない状況にあるわけですよ。
その中で、一方的にカジノの魅力だけを伝えてしまうのは、非常にリスクが高いです。
講演ではレスポンシブルゲーミング(責任あるゲーミング)について取り上げるようですけど、こういうカジノ側発信の講演会って何回も参加しましたけど、良いことしか言わないですからね。
カジノがやる対策は決して万全なんかじゃありません。
実際には、対策があっても何万人という人が、ギャンブル依存症に罹患している現実があります。
そういったことも公平に伝える必要があります。
ましてや、ロクな対策がない日本の現状で、10代の学生が在籍する大学でギャンブルの魅力を語らせてどうするんですか!
大学生でオンラインカジノやスポーツベット、インカジ、闇カジノにハマってしまう人なんかいくらでもいるんですよ。
そして大学生の大問題は、お金が学生ローンなどで少額しか借りられないために、友人知人に借りまくってしまい被害が拡大すること、ハマっている友人に誘われ、ハマってしまう人が次々増えていくことということがあります。
おそらく立教大学の先生方は、こういった現実を全くご存じないかと思います。
また、この企画をした人が、立教大学の内部の先生なのか?持ちかけられた話なのかわからないですけど、今や、日本のカジノの権利を獲得しようとオペレーターがしのぎを削っている中、最大の懸念事項であるギャンブル依存症対策に、これほど無頓着ぶりを露呈してしまうことは、オペレーターにとっても何のメリットもないと思います。
私なんかこのイベント見てまず思ったのは、「どこのカジノが参加するの?」とチェックし、顔ぶれをみて「依存症対策大丈夫か?このカジノ?」と思いましたもんね。
今からでも遅くないから「日本の大学生に予防教育が行われていない現状を鑑み、登壇は控えることにした。」と、発表したらいかがでしょうか?そうしたら私なんかはめっちゃ見直しますけどね。
政府だって国民感情を鑑み、選挙に影響しちゃ困る!とばかりに、カジノの基本方針の発表を先送りしたぐらいですよ。
こんな前のめりに、しかも一番やっちゃいけない「学生」に向けて発信するなんて、イメージ最悪ですよホント。
最後に立教大学の関係者の皆様に申し上げます。
このイベントの謳い文句には、
本シンポジウムでは日本型IRにおけるビジネスモデルについて、観光教育の実績を持つ本学として学術的側面を中心に議論する場を提供します。
とあります。しかしこの登壇者の顔ぶれは全員がカジノの推進派で、偏った情報しかありません。
立教大学の皆さんも文科省のHPは当然のことご覧になっているかと思いますが、文科省では我が国の高等教育の将来像(答申)の中で「新時代における高等教育機関の在り方」として大学についてこのような見解を示しています。
社会が発展していくためには、その基盤として、新しい知識を創造するとともに高度に活用する高い専門性を持った人材を育成することが不可欠である。人類の長い経験と叡智の中で、これを最も良く担う社会的な存在として確立されてきたものが大学にほかならない。大学は、社会と関連性を保ちつつも一定の距離を置いた自主的・自律的な存在として、教育と学術研究を通じて社会全体の共通基盤の形成に寄与してきたのである。
今後の知識基盤社会において、我が国が伝統的な文化を継承しつつ国際的な競争力を持って持続的に発展するためには、知的創造を担い社会全体の共通基盤を形成するという大学の公共的役割が極めて重要であり、大学は、その設置形態のいかんを問わず、大学としての社会的責任を深く自覚することが必要である。
これをお読みになられて、このイベントが文科省の指針にマッチしているとお考えでしょうか?
日本人の国民病とも言われている「ギャンブル依存症問題」に対する、社会的責任を深く自覚されているでしょうか?
是非、立教大学関係者の方からご回答をお寄せ頂けたらと思います。
田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト