教育とIT。これは、僕にとっても議員時代からの大きなテーマの1つです。東京ビックサイト別棟の青海展示棟で行われている「教育ITソルーションEXPO」に参加してきました。3本の講演を聞き、その合間に会場内出店企業から、提供されている各種サービスの説明を聞いてきました。EXPOというのは、テーマに沿って効率的に今の時代を把握するにはとても良い機会となっています。
講演ですが最も感じ得るものがあったのは、Loohcs高等学院校長の笠井成樹と俳優の伊勢谷友介の「問題児を求む。新しい高校。Loohcsの取り組み~これからの子どもたちの学びとは~」です。通信制高校 X Loohcsのコラボレーションによる新たな学びの提供についてです。IT活用による教育の話というよりも、コミュニケーション手法と教育ツールの提供が、必然としてIT活用になっているという事例です。
校務運営の効率化としてのIT活用であるとか、e-ラーニングとしての新たな学びとか、IOT機器の活用だとか…、こうした現況のコミュニケ―ケーションやツールをIoTに置き換えているのではないのです。Loohcs高等学院が高校生に提供すべき「何か」を追い求めると、今の形になっただけと受け止めるのが正しい理解だと思います。
教育の話ではありませんが、最後に2人が興味深い事を言っていました。「名刺交換をするのであれば、自分がLoohcs高等学院とどんなコラボが出来るか、名刺の裏に書いておいて欲しい」と「単なる名刺交換で終わらせては意味が無い」と…。その通り、僕もこのやり方を真似てみたいと思っています。
出展企業に対して、特に興味をもってヒアリングをしたのは、公務運営ソルーションとデータ活用、学生証の在り方です。小中高・大学と各公務運営ソルーションがあるのですが、データが標準化されておらず、自分のデータを進学した学校に持って行くことが出来ません。
これまで学んだ教科が何で、成績はどうであったのか、どんな本を図書館で借りたのか、データが学生中心になっておらず、学校運営者中心、ソルーション提供者中心となっています。「個人の意思でデータを持ち出し、次の学校に持ち込むことが出来るか」と聞くと「自分達の製品を使えばデータを共有化することが出来る」と言うのです。この分野も垂直型統合から抜け出せていない、真の意味でデータが活用できる状況になっていないことに改めて気づかされました。
校務運営ソルーションを提供する業界が協力し合ってデータの標準化を行い、横ぐしさせる状態にすることを何故しないのか、疑問です。競争領域と共有領域を区分して、各社競争しながら学生中心の質の高いサービスを提供することが大切だと思います。
出席登録、休講連絡、証明書の発行等、がプリの機能説明については、直接JSSのWEBをご覧下さい。何故、学生証がカードサイズの紙やプラスティックでなくてはいけないのか?何故、応用性の無いものを選択するのか…。
がプリは良く考えられてつくられていますが、更に進化する為には、学校(民間)が学生証を発行する際の本人確認をマイナンバーカードの公的個人認証を使って行うことです。これが出来れば、国が認めた正式な個人の認証に立脚した学生証になり、身分証明証としては強い力を発揮することになるはずです。
学生証、マイナンバーカード、健康保険証、お薬手帳、キャッシュカード、クレジットカード等、高校生なのか、専門学校生なのか、大学生なのかによって持つカードの枚数は異なりますが、複数持つ事には変わりありません。マイナンバーカードに機能を集約することも出来ますが、スマホで集約することが時代の要請と思います。公的個人認証済みの「がプリ」が学生証の標準になれば、世の中変わること間違いありません。
編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年6月25日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。