安倍首相の8.15 靖国参拝 〜 今年なら絶好機といえる理由

靖国神社で、7月13日~16日の4日間みたままつりが開催される。

今年の8月15日は、その靖国神社に安倍晋三首相が参拝するチャンスである。実現すれば2013年12月26日以来約6年ぶりとなる。北方領土問題では、ソ連崩壊直後という好機を逃してしまったが、靖国神社参拝もこのチャンスを逃すと痛恨の失策になる可能性が高い。惑星直列にも等しい“オールグリーン”状態だ。

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なぜ今がチャンスなのか

公開された情報から推定すると、総理大臣による靖国神社公式参拝を阻害する主要な要因は、次の3点と考えられる。今はそれらが揃って「扉」を開いているのだ。以下、一つ一つ検証する。

阻害要因1:米国の意向

靖国神社には、極東国際裁判所(いわゆる東京裁判)において「A級戦犯」【class-A war criminal】とされ刑死(法務死)した戦争指導者達も1978年に合祀されている。“class-A”を「A級」と翻訳しているが、対訳としては「A項」・「A種」・「A類」が妥当だったのではないか。「A級」は音としては「エイキュウ」又は「エーキュウ」となり「永久」に「戦争犯罪人」というイメージが付きまとう。一体どんな考えで粗悪な対訳を付けたのだろうか。

訳語はともかく、国内的には国会決議により当該戦争指導者達の法的な名誉は回復されている。しかし、米国としては、第二次世界大戦に参戦した大義の維持のために、「平和に対する罪」を犯した責任者達として東京裁判の「判決」および「A級戦犯」という結果を支持し続けている。そのような戦争犯罪者に対して、日本国の首相が尊崇の念を表明することは、「敵国日本」という概念を復活させざるを得ない。

従って、極東エリアの平和を維持する上で米国としては許容できない。この米国の考えは、在日米国大使館・領事館の公式ウェブサイトからも明確に伝えられているので以下の通り引用する。

安倍首相の靖国神社参拝(12月26日)についての声明

(筆者注:2013年12月26日、当時の大統領はオバマ氏)

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかしながら、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している。

米国は、日本と近隣諸国が過去からの微妙な問題に対応する建設的な方策を見いだし、関係を改善させ、地域の平和と安定という共通の目標を発展させるための協力を推進することを希望する。

米国は、首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現に注目する。”(引用終わり)

従来、上記の通り米国は、首相による靖国参拝に否定的なスタンスを明確に示していたが、上記文言から読み取れる前提条件と現在の国際関係の枠組みには明確に違いが発生している。今も全く同じスタンスとは考えにくい。

この点について、G20直前の6月26日に、米国の現在の考えを推量する材料となる重要なメッセージをトランプ大統領が発信している。日本経済新聞記事から引用すると

トランプ氏、日米安保に不満漏らす 米メディアに

トランプ米大統領は26日、日米安全保障条約を念頭に「もし日本が攻撃されれば、私たちはどんな犠牲を払っても戦う。しかし、もし米国が攻撃されても日本は必ずしも助けてくれない」と日本との安保協力に不満を示した。同日放送のFOXビジネス・テレビのインタビューで語った。

(日経新聞2019年6月26日 )

確かにこれは、安全保障に関し米国に頼り切っていた日本に対して、駐留経費の増額や武器購入契約の拡大を要望しているという読み方も可能だ。しかし素直に受け取れば、トランプ大統領としては米国の片務性に不満があるので、安全保障の「役務」について日本側にも応分の負担をしてほしいと考えており、日本にそれができる“普通の国”になることを促すサインと読める。

かつて“普通ではない国”として、朝鮮戦争やベトナム戦争で激戦の尖兵とされる役務を器用に回避したが、周辺環境が激変した今、日本は“普通の国”となるきっかけとしてこのメッセージを最大限活用すべきである。日露戦争以来長く続いた米国の「敵国日本」という認識が緩んでいる今こそ、首相参拝を実現する最大のチャンスである。

阻害要因2:中国は今、歴史カードが切れない

今回のG20において習近平国家主席は、安倍総理との会談で歴史問題に言及しなかったことが伝えられている。米国との貿易戦争で苦戦している中国は、その影響を緩和すべく日本に接近しており、今日本に対して歴史カードが使えないと考えられる。

国賓としての招待に影響があるかもしれないが、今攻めの一手として首相が靖国神社に参拝し、中国の弱い反応でことを納めれば、結局歴史カードは方便で出し入れする実態が晒される。以後再び歴史戦を持ち出されても、強く押し返すことが可能になり、結局歴史カード自体の威力を低下させることにつながる。

阻害要因3:韓国への配慮

戦時応募工(いわゆる徴用工)問題に関し、日本はいよいよ「半導体材料の貿易管理強化」という実質的な報復措置に出た。十分すぎるくらい時間をかけ、丁寧に韓国に対応してきたが、残念ながらもはやその配慮の意味がなくなった。首相による靖国神社参拝が行われれば激しい反応が予想されるが、今やそれは配慮する事柄ではなくなった。

官邸サイトより:編集部

今参拝することで得る成果:

阻害要因が全て解決されている現在、参拝を達成することで得られる成果は少なくない。

成果1:普通の国に復帰

今参拝を定着させれば、戦後ながらく固定されていた「軍隊を持つと邪悪になる日本」という設定を打破できる。

成果2:フェイク問題への逆襲

今回参拝を実現すれば、朝日新聞が生んだ3大フェイク問題「ヤスクニ、イアンフ、ナンキン」の一角が崩れる。慰安婦問題や南京問題に関しての事実を、米国を中心とした国際社会に訴えて行く逆襲の嚆矢となろう。(問題の事実については諸説あり。)

成果3:自衛隊の士気向上:

かつての「殉国の士」を現在の指導者が正当に顕彰する。そのような「普通の国」に復帰することは、今自衛隊に奉職している諸士の士気を高めるものと考える。

安倍首相の任期まで残り2年余り。国内外で整いつつある「絶好機」へ、あとは英断を待ち望みたい。

田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。