規制緩和:自民も立憲も本気でないシェアリングエコノミー

柳ヶ瀬 裕文

こんにちは。やながせ裕文@参院選比例区です。

選挙戦もあと6日。このブログもラストスパートに入ります。

私、やながせ裕文と、東京選挙区から立候補中のおときた駿さんがずっと言い続けてきたのは、しがらみがない政治勢力が必要なことです。

さきごろ、平成元年と平成30年の世界の株式市場の時価総額ランキング比較が話題になりました。平成のはじめ世界上位50社のうち、32社を占めていた日本企業は、30年が経って35位のトヨタ自動車1社だけが入るのがやっとという有り様でした。

私自身も思春期以降は、心から景気がいいと実感することはありませんでしたし、その数字を突きつけられることで、私と同じように衝撃と悔しさを覚えた方も多いのではないでしょうか。

日本企業の衰退は、グローバル化とIT化の波に乗り遅れに尽きます。特に後者については、昭和期から営々と築かれてきた、さまざまな規制が岩盤のように存在し、この国の政治家、官僚、業界団体が「既得権益」を守ることに汲々として、全く新しいアプローチで市場を切り拓こうとする新規参入組を排除してきたからです。これが日本のイノベーションの遅れにつながりました。

写真AC:編集部

典型的なのはシェアリングエコノミーの問題です。最近でこそ自民党、立憲民主党は関心を示していますが、やはり及び腰です。特に自家用車を相乗りタクシーのように使うライドシェアに関しては、日本は先進国で解禁されていない数少ない国です。現行の道路運送法では、いわゆる白タクは摘発の対象です。

もちろん、私も、技量的に安全運行に問題のある人物の自家用車までがタクシー行為をすることは反対です。これは大前提。

しかし、一定の資格要件を付与して安全性を担保することは可能です。実際、ライドシェア先進国のアメリカでも州によっては、年齢制限、保険加入、犯罪歴の有無等の条件を設けています。

ライドシェアというと海外のウーバーのような都市部のサービスを想起しますが、高齢化と人口減少が進む我が国では、過疎化と高齢化で運転手不足の地域において、積極的に導入するべきではないでしょうか(いまは一部地域で先行実験のみ)。今年に入り、社会問題化する高齢者の運転事故への対策としても有用でしょう。

地域ごとにきめ細やかに需要を見極めるべきなのでしょうが、なかなか解禁に至らないのは、タクシー業界の政治力が強いからです。

しかし、大事なのは適切な市場競争を通じて、ユーザーの選択肢を広げることです。これまでどおり多角的なサービスが充実した既存のタクシー会社がいいというかたもいるでしょうし、オンデマンドサービスでご近所の自家用車に一定額を払ってすぐ乗りたいというかたもおられるでしょう。そして、全体として安くて移動しやすい街をつくることです。

そもそも、ライドシェアの問題は、タクシー業界を守旧派のように扱って論じるような表層的な話ではありません。いま自動車業界は、100年に一度の大変革期、「CASE」の時代を迎えたと言われます。CASEとは、「C」(コネクティビティ=接続性)、「A」(オートノマス=自動運転)、「S」(シェアード=共有)、「E」(エレクトリック=電動化)の頭文字を合わせた造語です。

遠くない将来、完全自動運転車が普及すれば、人口減少も相まってタクシー運転手という職業がなくなるかもしれません。当然、自家用車も普及していれば、例えば地域で共同保有する自動運転車を安価にシェアするという選択肢も出てきます。IoTで接続された車は、目的地までスムーズに人を乗せて運びます。ライドシェアはCASEの時代が本格化すれば、結局、導入することになるのです。

ここで最もやってはいけないことは、業界団体の既得権を守ろうとして政治や行政がルールを変えないまま、世界と時代に取り残されてしまうことです。平成の30年はそういうことがさまざまな業界で続いてきたことで、冒頭の時価総額の結果に表れたのではないでしょうか。

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柳ヶ瀬 裕文  前東京都議会議員、日本維新の会 参議院東京比例区支部長
1974年生まれ。JR東日本企画、国会議員公設秘書、大田区議会議員を経て東京都議会議員(2009年7月〜2019年3月)。都議在任中は「こども達の未来へ」をキャッチに、徹底した行革、ムダの削減、都営地下鉄と東京メトロの統合民営化、医療、教育問題などに取り組んだ。2019年参院選比例区から立候補。公式サイト、ツイッター「@yanagase_ootaku」。YouTube「やなチャン!」も好評オンエア中!