付き合っているのに「毎回割り勘の彼」はケチか堅実か

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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男女平等が推進される現代においても、奢る、割り勘の問題は依然として続いています。同問題について度々、盛り上がりを見せる発言小町では次のようなエントリーを見つけました。これほど多様な意見が出てくる話題もなかなか珍しく、興味深く読ませてもらいました。

毎回デートが割り勘です。(発言小町)

紺色らいおん/写真AC(編集部)

Twitterでも思っていることを出すことにします。

ことのあらまし

今回のエントリーは、付き合って半年になるという女性からのもので、女性34歳、彼は33歳でお互いに結婚を意識しているといいます。付き合う前の初デートは奢りだったのに、それ以降はすべてきっちり割り勘ということにモヤモヤを感じているようです。

この投稿に対する反響は様々です。

「自分ならそんな人別れる」
「ケチはお金で相手を見るあなただ」
「男女平等の意識が高まる今は普通」

と言ったものがありました。

奢らないのはケチではない

私は今回の件のどちらの肩入れをするつもりもまったくないですが、私は「男性が奢らない=ケチ」ではないと考えています。

今の時代は男性でも大きな不安を抱えています。終身雇用が崩れ、自らは子供を宿さない男性であっても、かなりの数の男性が

「もしかして、会社が倒産するかも」
「10年後、自分は働けているだろうか?」

といった、将来への空漠たる不安を抱えていることでしょう。

また、「男性は行動的で、男気あふれるリスクテイカーであってほしい」というのが女性の本音だと思います。しかし、慎重な男性ほどなかなかリスクを取りたがらないものです。

「まだ相手との距離感が分からない内から奢り、それでお別れしたら投資した分がもったいない」
「今は男女平等社会だから、男だからといってすべての女性に奢るのはどうか」

とお金を使うことに慎重になっていると考えます。その結果として、奢らないわけで「奢らないのは相手の女性にお金を使うのが惜しいからではない」という男性もいると考えます。…まあたまに本当にケチな方もいるでしょうが(笑)。

男女の感覚は異なる

このようなテーマが持ち上がるたびに言いたいことは、「男女の感覚は大きく異る」という点です。男性は出産・妊娠で働けなくなる期間はありませんし、配偶者の転勤を機に退職や転職も基本的にありません。しかし、女性は出産を取れば、キャリアが難しくなるなど人生の選択肢がトレードオフになる局面が少なくありません。最近は会社のキャリアに縛られない、フリーランサーとしての生き方も出てきて、変わりつつはありますがそれでも仕事といえば会社に務めるのが一般的ですから、男女で仕事への感覚は異なります。

この前提に立つならば、女性は妊娠、出産中は仕事から離れる事になり、その間のファイナンシャルサポートを意識せざるを得ません。「奢らない=いざという時に頼れない」というリスクを感じて、トピ主のような不安につながる事はよく理解できます。

私はまず、両者で感覚の違いを話し合うところからスタートするべきと考えます。結果、どちらかが相手に譲歩をするか、折衷案を出すしか解決する方法はないのです。これは男女の感覚の違いによる問題なので、話し合いは不可避でしょう。

「男・女」ではなく、個人の価値観を尊重

「女性はみんな奢られたいと思っている」というわけではないように、性別という大きな単位で捉えてしまうと、大衆には受けるけど実際に付き合う相手からは嫌われてしまう、ということが起こりえます。私は過去に(もう10年以上前ですが…)、職場の同僚の女性と食事に行って相手に奢ろうとした時に「あなたと付き合ってもいないのに、そういう事をされるのは少し不快だ」と言われてしまったこともあります。男性はこう、女性はこう、とくくる以前に個々人の価値観はあまりにも異なります。

まずはお互いの価値観を理解するためにも、話し合って意見を交換しあい、相手を理解する事がファーストステップではないでしょうか。私自身、話し合いの結果、奥さんと共同財布を作ったことで、「今回の支払いはどうする?」という、面倒な葛藤が雲散霧消して、非常に気が楽になった事を覚えています。

今回の件に限らず、男女のすれ違いの最大の要因は、コミュニケーション不足にあると感じます。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。