52年続いたバイト求人情報「an」が終わって感じた切なさ

バイト求人情報誌のanが終了します(公式リリース)。なんと52年もの歴史があったとのことです。私も20歳前後にお世話になっていたので、このニュースに驚くとともに時代の変化を感じずにはいられません。

「an」公式サイトより:編集部

Twitterでも切ない気持ちを表すことにします。

バイトを探す年代はみんなネットへ移行

私の会社では、正社員もアルバイトもいるのですが、それぞれ応募形態が異なると感じています。ハローワークに募集を出せば、正社員への応募はいくつも来ますが、反面パート・アルバイトの応募はほとんどありません。ですが、ネットの人材募集サイトに登録をすると20代の若い人を中心にたくさんの応募があります。

今の時代、バイトを探している若い世代は、ネットからの応募が中心になっていることを実感します。それは統計データを参照することなく、自分の会社で肌感覚で伝わってきます。

ネットがない時代のバイト応募は求人誌の購入

今のようにネット全盛期でない時代、フロム・エーやanには随分お世話になったものです。私がバイトを探していたのは、2000年前後だったのですが、その頃は今のようにネットからアルバイトを応募するのではなく、求人誌を本屋で購入して応募をしていました。

まずは電話で面接を取り付け、後日巻末の履歴書をハサミでカットして記入・写真貼り付けの上で応募先に持参していました。当時は、履歴書もネットからダウンロードして印刷するのではなく、書店で販売されていたものを購入していました。ですが、求人誌を買うことで「仕事も探せる。履歴書も手に入る」ということでコスパがよく、多くのバイト応募者は求人誌を購入していた時代があったのです。

52年前はどんな時代だったか?

日本最初の求人誌・anが誕生した52年前の1967年、その頃の日本は3つのC「Car(車)、Cooler(エアコン)、Color TV(テレビ)」が「新 三種の神器」と呼ばれていました。1963年には鉄腕アトムのアニメ放送、1962年にキューバ危機があり、1963年にはケネディ暗殺事件が発生した時代です。

そのような頃から求人誌ビジネスが始まり、AI時代の黎明期となる2019年までビジネスが存続できた事に驚きを感じます。新規求人はネットへと舞台を移し、今後同社は転職案件ビジネスに注力していくものと見られます。

アルバイト求人誌、というビジネスが終わりを迎え、なんとなく切なさを感じてしまいました。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。