「一期一会」に込められた真の意味を、私はこう解釈する

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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大人になり、数え切れないほどの「出会いと別れ」を繰り返してきました。8月の夏の盛り、ふと空を見上げて目を細めてしまうほどの爽やかな陽光の下で、なぜか唐突に「出会いと別れ」について考えを巡らせる瞬間がありました。私にとっての夏は「出会い」、そして秋は「別れ」を連想させる不思議な感覚を覚えるのです。それで本題にある「一期一会」についてついつい想いを馳せてしまいました。

brushstockより:編集部

Twitterでもこの切なさを言葉にしてみました。

「別れ」にフォーカスした「一期一会」

一期一会という言葉について、Goo辞典では次のような言葉の定義がなされています。

一生に一度だけの機会。生涯に一度限りであること。生涯に一回しかないと考えて、そのことに専念する意。もと茶道の心得を表した語で、どの茶会でも一生に一度のものと心得て、主客ともに誠意を尽くすべきことをいう。

辞書で定義されている通り、多くの人が「この人とはもう二度と会うことはないかもしれないので、出会いを大事にしよう」と考えているのではないでしょうか。そう、「出会い」を大事にして安易に「別れ」につながらないように誠意を持って対応しようという考えです。つまり、多くの人は「出会い」にフォーカスした考えを持っていると思うのです。

しかし、私はこの言葉についていえば、「出会い」より「別れ」にフォーカスした考えを持っています。「出会いは偶然で、別れは必然。今会う人とはいつか別れる時が来るのだから、その人の心に残る種を植えたい」という「別れる事への覚悟」です。

想定しない「別れ」

人は別れる時のことを想定せずに、ともに時間を過ごします。仲のいい友達、会社の同僚なども「この先も一緒にいる」ということを、考えながら付き合いをしている人も多いのではないでしょうか?しかし、私は数多くの別れを経たことでそれが幻想に過ぎないことを知っているつもりです。

「また今度もぜひ一緒にやりましょう!」
「次も絶対に来ます!」
「これからも末永くお願いします」

このように笑顔で言ってくれた彼らは、いつしか私の前から風のようにいなくなってしまいました。もちろん、彼らにだまそうという意図はありません。仕事が忙しくなったり、遠くに引っ越したり、他に面白そうなものを見つけたのかもしれません。

人は別れる時によく「次」を約束します。「またよろしく」「今後もよろしく」、こういった言葉に表れる「次」、こんなにも「次」を示しておくのはそれだけ人はあっさりと別れてしまうということなのかもしれません。

「次はないかもしれない」からこそ、私は種を植える

少々、大げさな心構えなのかもしれませんが、私はどんなに楽しい時を過ごした相手でも、「次はないかもしれない。」という覚悟を持っています。もちろん、楽しく過ごした相手とは次も一緒にいたいと思うものですが、自分はそう思っていても、相手の心は移りゆく季節のように簡単に変遷していくということを、嫌というほど体験してきました。

そんな時、ついつい一期一会を考えます。「これが最後の時間かもしれない」と思うのは切なさを感じるものです。私の場合は自分が知っていることや考えの中で、相手のお役に立てそうなものをお渡しするようにしています。それが時に、未来に咲く種を残すことがあるからです。そんな時に「一期一会」を考えさせられるのです。

数年越しに連絡をくれた大学生

私は数年前、ある大学生と話をする機会がありました。彼は大学入学時に22歳、かなり遅咲きのスタートです。私は23歳で大学デビューでしたから、遅咲きという点では共通しています。

彼と会った時、まさしくこの一期一会を意識して「遅咲きでも自信を持って、努力をすることの重要性」「大学で学ぶことの真の効用」「大学生の時に英語を身に着けておいた方が良いこと」などについて、誠心誠意、彼にお話をさせてもらいました。彼は喜んで帰っていき、「これでお別れになっても悔いはない。彼ならきっと、このアドバイスを活用してくれるだろう」と思ったものです。

時は流れて数年後、彼は大学を卒業するタイミングで私に連絡をくれました。驚いた事に私がアドバイスした内容をしっかりメモを取り、自分なりに目標を定め、アドバイスした軸に沿って戦略的に取り組んでいました。遅咲きながら非常に優秀な成績で大学を卒業し、夢だった仕事に就く事になったと教えてくれました。「大学生の間に英語も出来るようにしました」ということを言ってくれて、この言葉には嬉しくなったものです。

「一期一会、これが最後になっても未来で花を咲かせる種を」、そう思ってまいた種が開花し、彼は立派な青年に成長してくれたのです。別れるともう、二度と戻ってくることのない圧倒的大多数の中、彼は私のことを忘れず戻ってきてくれ、私に一期一会の本当の意味を授けてくれた気がします。

彼とのこのやり取りをした経験は今でも私の中に価値観として残り続けており、2019年の今付き合いをさせてもらう相手にせっせと種まきをすることに繋がっています。正直、種から芽が出るかどうかはわかりません。それは相手にお任せです。

99%は花が咲くことはありませんが、1%の確率で花が咲いて、数年越しに繋がっていたことの素晴らしさを思い出させてくれる。これこそが人との出会いと別れの素晴らしさであると感じます。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。