“韓国の鳩山由紀夫”チョ・グクと美人の娘の疑惑

八幡 和郎

韓国では文在寅大統領の民情首席補佐官で、法相に指名されたチョ・グク(曺国)氏をめぐる疑惑でもちきりで、反日どころではなくなってきたほどだ。韓国では閣僚任命の前に国会による聴聞会が開かれる。ただし、アメリカと違って議会の同意は不要である。

記者会見するチョ・グク氏(KBS  NEWSより:編集部)

国会では本人だけでなく疑惑の対象になっている家族まで呼べと野党が要求しているが、チョ・グク氏は拒否して紛糾し、そのかわりに2日から3日の午前2時過ぎまで10時間半以上にわたって会見を行って、疑惑が晴れたわけでないが、それであとは任命を強行する構えだ。

ただ、この長い記者会見をもとに、「ネット検察官」がしっかり疑惑解明してくれるのに期待したい。日本でも蓮舫を追い込めたのは、彼らのおかげだ。

チョ・グク氏は1965年生まれで、ソウル大学教授時代から左派系の論客として活躍した。裕福な家庭に育ったことから、「江南左派」(シャンパン社会主義者。日本でなら朝日新聞にぴったりな表現だ)といわれる。

長身でハンサムで、自分のことは棚に上げて軽やかに進歩思想を語る姿は、まさに韓国の鳩山由紀夫といったところ。苦労人の文在寅は、お坊ちゃまで爽やかな二枚目、しかも、よどみなく理想を語るチョ・グクに魅了されて目が曇っているように思う。豊臣秀吉にとっての石田三成といったところだ。

ところが、法相に指名されてから、かずかずの疑惑が噴出して、剥いても剥いても出てくるというので「タマネギ男」といわれる始末。

疑惑は、①娘の高麗大学への不正入学と大学院での奨学金の不正受給②息子の5回にわたる兵役逃れ③チョ氏の父親の債務逃れと家族ぐるみの投資ファンドでの資産隠しだ。

娘は高校生のときに2週間だけ翻訳など学者の論文作成の手伝いをしたのだが、論文の筆頭作成者にしてもらい、それを武器に早稲田大学と提携している私学の名門高麗大学にAO入試で合格した。おまけに、素行などについての内申が芳しくなかったのになぜというのも疑惑だし、金持ちでそんな成績優良でもなかったのに奨学金を何度もというのも庶民の憤激の種だ。

しかも、この娘がなかなかの美女だというのも話題を盛り上げている。画像は「チョ・グク 娘」で検索したら出てくるだろう。

あきらかにおかしいのだが、AO入試の選考について立件は普通には難しい。ただ、朴槿恵を業務妨害罪とかいうことで、本来の正しい選考が行われないようにしたというだけで刑罰に問うたのであるから、これもその基準ならクロだという見方もある。

この事件で、驚いたのは、検察が関係先の捜査に乗り出したことだ。検察トップの検事総長は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏。ソウル中央地検検事正として朴槿恵を追い詰めた人物だ。

それを大抜擢で検事総長にしたのは、文在寅大統領だが、飼い犬にかまれた格好。チョ・グク氏が法相として、検察の独自性を抑制する制度を作ろうとしているので、先制攻撃をしたという見方が強い。

検察が狙うとしたら、これではないかという人もいる。チョ・グクが直接に関与した可能性がいちばん高いからだという。


八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授