高齢化で若者の街「原宿」が「巣鴨」になっていく

50代になって、中学、高校、大学、大学院と同窓会の数が増えてきました。そんな写真を見ると、自分も気がつかない間にシニア世代に入ったことを実感します。

(写真AC:編集部)

日本経済新聞によれば、直近の総務省の人口推計で、65歳以上の高齢者人口は、3588万人と昨年より32万人増えて、総人口の28.4%となっています。75歳以上になると、53万人も増えて、1848万人。これは、総人口の14.7%です。

ざっくり言うと、日本人の3分の1近くが65歳以上で、7分の1が75歳以上という超高齢化が進んでいます。

人口に占める65歳以上の割合は、世界一高い比率となり、日本は「世界のナンバーワンの高齢国」です。

しかも、この比率は今後更に上昇していきます。国立社会保障・人口問題研究所は、65歳以上の比率が2025年に30.0%、40年には35.3%と推計しています。

こうなると社会システムの構築を若者ではなく、シニアを中心に考えていかなければなりません。例えば、エスカレーターのスピードは遅くしないと、転倒するシニアが続出します。駅にはベンチを増やして、座れるようにしなければなりません。

企業経営も同じです。日本国内のビジネスは、高齢者がメインターゲットになるのです。

山手線の巣鴨駅は、高齢者女性の乗降客が多く「おばあちゃんの原宿」と呼ばれていました。これからは、若者が集まる原宿自体が、巣鴨化していくことになります。

竹下通りには、修学旅行生よりも、シニア向けのお店が増えていくことになるでしょう。

しかし、シニアといっても、かつてのような「終わった人」といった位置づけではなく、アクティブな人生の後半戦を過ごす人も増えていきます。

例えば、日本の高齢者の就業率は18年時点で24.3%と、アメリカの18.9%、カナダの13.4%と比べて、高い水準です。

シニアが社会が中心となり、若い頃と同じように働くことが当たり前になる社会。きっとシニアになっても、現役時代と同じように、霜降りの牛肉(写真)をしっかり食べるのが当たり前という人も珍しくなくなります。

高齢化先進国の当事者として、高齢者が増えていくことに、日本社会がしなやかに対応していくことを期待したいです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年9月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。