多国籍100人シェアハウス「#HASH196」の誰一人取り残さない工夫

地域を学び、地域で遊ぶためのヒューマンネットワークマガジン「かがり火」188号で特集されていたシェアハウス「#HASH196」(最寄駅:JR常磐線柏駅)を訪問しました。

代表は、平岡雅史(37歳)さん。脱サラしてシェアハウス事業を始めて8年。東京に5棟、千葉に2棟、大阪に3棟の「絆家シェアハウス」を経営されています。

規模が大きくなれば、できることが増える。

#HASH196」の共有スペースは、とても充実しています。

キッズルーム

音を出しても、汚してもかまわないアトリエ

アトリエでは工具も使うことができます。

リビングは2種類。落ち着いて話す部屋と、みんなでわいわいがやがやする部屋

防音の映画ルームも完備

入居者の好きな本を並べた本棚やワーキングスペースも。

「「ただいま」と「おかえり」のある家をつくりたい。」

シェアハウスを8年間経営して分かってきたのは、最近の20代の若年層の方が住居にもとめる価値が変わってきているということです。

今までは、築浅物件、駅近物件、間取りの広さなどハード部分に住まい選びの重きが置かれていましたが、それ以上に“そこでどんな体験ができるか、誰とどんな暮らしができるか”と言ったソフトの部分に重きを置いてシェアハウスという暮らし方を選ぶ方が増えてきました。

#HASH196」の由来は、「全196か国おうちで作れる世界のレシピ。」

みんなで料理を作り、食べながらコミュニケーションをとっていきます。


誕生会などのイベントが充実。さまざまな部活活動も行われています。地域との関わりも積極的です。


お皿や電子レンジ、炊飯器も備え付けられているので、これらの家具を買う必要もなく、引っ越しの初期投資を抑えることもできます。


一方で、共同生活を営むためのルールや工夫もいくつか設けられています。

1)共有スペースは綺麗に

共有スペースに放置された私物は、ぽいぽいボックスに。1週間経っても取りに来ない場合は自動的に捨てられます。

1週間に1回、業者による清掃が入りますが、それだけではなく、美化委員を設置。約半年に1回1週間、入居者自身が美化委員を持ち回りで担当します。必ずしも自ら掃除をする必要はありませんが、マニュアルを読み返し、気づいたことを自分の言葉で他の入居者に働きかけていきます。

2)誰一人取り残されることなく

入居者の中からコミュニティマネージャーを選任。新しく入居した方と密にコミュニケーションをとり、趣味や考え方が合いそうな入居者を紹介したり、ウェルカムパーティを開きます。

部活は入居者の自由で、さまざまな活動が行われていますが、誕生パーティは運営側が月ごとに主宰。特定の人だけが盛り上がらないよう配慮しています。

また、部活は3か月で一度休止。リーダーやメンバーもさまざまな事情で止めたくなったり、あるいは実質的には休止しているにもかかわらず、既存の類似の部活があるから、新しい人がやりづらくなったりすることを防ぐため、敢えて3か月で1度休止することをルール化し、リーダーやメンバーが続けてやりたい場合は続けていきます。

今では、シェアハウスの入居者の過半数は女性。災害などの際にみんなで力を合わせたいという方が増えているとのこと。

これから、高齢化が進み、空き室が増えてきた団地などでも、こうしたコミュニティハウスが広がっていくのではないでしょうか。

<もう少し知りたい!>

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<井上貴至 プロフィール>


編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2019年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。