N国 立花氏、埼玉補選に出馬へ:失職したら逮捕リスク!?

アゴラ編集部

NHKから国民を守る党の立花孝志党首(参議院比例)は8日、参議院埼玉選挙区補選(10日告示、27日投開票)に鞍替え出馬する意向を明らかにした。公選法により、立花氏が補選に出馬した時点で自動失職する。

立花氏はこの日午後5時からの記者会見に先立ち、YouTubeに「国会議員を辞めます」と題した動画を投稿した。

それによると、同党がこれまで補選に向けて独自候補の擁立を進めてきた中で、前衆議院議員の豊田真由子氏、8月の埼玉県知事選で与党推薦で出馬し敗れたばかりの青島健太氏、森友学園前理事長の長男、籠池佳茂氏のオファーを出してきたというが、「3人が出なかった場合には自分が出ざるを得ない」と述べた。

参院埼玉補選は、元民主党衆議院議員で、前知事の上田清司氏が出馬を表明。立憲民主党、国民民主党が支援する見通しだ。上田氏は4期16年知事を務めたあと、夏の知事選には出馬せず、後継に大野元裕氏(前参議院議員)を指名して全面支援。与党推薦の青島氏に競り勝って、その影響力を誇示した。

上田氏が推した大野氏に敗れた自民、公明は知事選の「痛手」から回復できずに候補者擁立を見送り、自主投票をすでに決定している。産経新聞によると、共産党は上田氏を支持するかは憲法改正への態度を見極めてからとしているが、仮に擁立したところで上田氏以外に有力な候補が実質いないことに変わりはない情勢だった。

このまま上田氏と立花氏の2人を軸にした戦いになった場合、どうなるだろうか。全県選挙で当選1人という補選の構図は知事選と同じだが、上田氏は2015年知事選で得票率が6割近くの89万1,822票を獲得して圧勝。上田氏が支援した大野氏は19年知事選では、得票率で5割を切ったものの、92万3,482票を獲得した。

これに対し、N国は今年の参院選で初めて選挙区に候補者を擁立し、定数4のところ、8番手の80,741票。最下位当選の35万票に遠く及ばなかった。上田氏が圧倒的に優位な情勢に変わりないとみられるが、各地でゲリラ的な選挙戦をしてきた立花氏は常々、旧みんなの党の得票が多かった地域を意識した選挙戦略を展開してきた経緯はある。

かつて埼玉選挙区にはみんなの党から出馬した行田邦子氏が48万票を獲得して当選している。また、今回、選挙に出なかった自民党などの与党支持層を取り込むことに活路を見出すとみられるが、元みんなの党代表で、自民党にもかつて所属していた渡辺喜美氏と立花氏が国会で会派を組んできたことから、渡辺氏がこの選挙戦にコミットするのかどうかも注目される。

一方で、ネット上では、立花氏が元所属の中央区議との脅迫トラブルで警視庁に書類送検されていることから、失職した途端に国会議員の会期中の不逮捕特権を行使できず、「逮捕されるリスクがある」と指摘する意見がみられた。書類送検されているので身柄拘束に至る可能性は低いとみられるが、検察が起訴するかも含め、今後の捜査の展開によっては波乱含みの選挙戦になるかもしれない。