野党「質問通告漏洩問題調査チーム」に関して、10月18日から19日にかけ、NHKのほか産経・朝日・毎日・東京各紙で報道されている。
「内閣府から流出認める」などと新事実が明らかになったかのように報じたところもあるが、15日の参議院予算委員会に関して、11日夜、私に「内閣府経由で、質問通告と出席要請の連絡があった」ことは、10月14日のSNSとアゴラでとっくに公表済みだ。
参照:10月14日アゴラ「森ゆうこ議員の国家戦略特区に関する質問通告に関して」
また、質問通告の内容を私が誰になぜ伝えたかは、すべて以下で説明した。
参照:10月18日アゴラ「人権侵害を行った国会議員が『情報漏洩』を指摘するのは筋違いだ」
報道関係者の方々には、野党側の会見内容だけでなく、これらも十分踏まえて報道いただくようにお願いしたい。
そのうえで、報じられている内容に関して、コメントしておく。
1)「民間有識者に守秘義務が必要」について
(調査チームは、)原氏が受信後、内容の一部を高橋洋一・嘉悦大教授に伝えていたことも問題視し「民間有識者にも守秘義務と罰則が必要だ」(同(筆者注:奥野総一郎議員))と法改正の必要性を指摘した。
(産経新聞WEB「内部通報者の特定を要求 質問通告流出で野党調査チーム」2019.10.18 22:07より引用)
上記の18日付記事で説明したとおり、私は、参考人出席要請を受けており、質問通告に「嘉悦大学」という項目があったので、必要な事実確認のため高橋氏に連絡した。
仮に私が国家公務員だったとしても、このようなケースで、必要な情報伝達・事実確認をするのは当たり前のことだ。国会質問がなされることを関係者に一切伝えてはいけないとしたら、多くのケースでまともな答弁を用意できなくなり、国会質疑の意義は大きく低減する。
今回の事案は、「民間有識者に守秘義務」がかかっているかどうかと、全く関係ない話だ。
2)内閣府職員が「無礼」との発言について
メール(筆者注:内閣府担当者から私へのメール)の本文に「ようやくですが、森議員からの15日(火)9時からの質疑通告の要旨が参りました。意味不明な文言も入っておりますが、これから事務所に連絡して確認してまいります」と記されていたことについて、チームは「無礼だ」(原口氏)と批判した。
(産経新聞WEB同上)
私が受け取った、森ゆうこ議員の国家戦略特区に関する質問通告文書には、本当に、意味不明な項目があった。それをみても、何を質問しようとしているのか全くわからない。内閣府担当者も、それでは答弁を作れないから困って、あとで確認したのだろう。内閣府担当者がその旨を私に伝えたのも、当然のことだ。
「意味不明」なことを「意味不明」といったのに対し、「無礼」ととがめる方がおかしい。どう「意味不明」だったかは、質問通告文書(FAXで内閣府に送付された文書)をみたら一目瞭然だ。
私は、これまで一貫して、森議員が自ら公開していない質問通告文書は、出席要請を受けた私自身が受け取るにとどめ、誰にも見せずにきた。
しかし、内閣府担当者を不当な非難から守るために必要ならば、いつでも文書を公開する用意がある。
原口議員が「無礼」発言を早急に撤回し、内閣府担当者に謝罪されることを願っている。
3)「国会議員の質問権」に関して
上記の18日付記事でも書いたことだが、繰り返しておく。森議員は15日の予算委員会で、何ら根拠なく、私を何度も名指しして不正行為を行ったかのように繰り返し、公務員ならば刑罰を受ける行為をしたとまで発言した。国会の外ならば法的に許されない、事実無根の名誉毀損だ。
15日は時間切れだったが、高橋氏と嘉悦大学に関しても、同様の誹謗中傷がなされる可能性があった。今後もまだ、その可能性がある。
森議員らは「国会議員の質問権」を強調しているようだが、少なくとも、国会はこんな言論のためにあるのではないはずだ。
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原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。
編集部より:この記事は原英史氏のFacebook投稿をベースに一部加筆・作成されました。