ありがとう『反日国家』韓国と文在寅大統領

こんなことを言ったら、「どうしたの。正気か?」と言われそうだが、私は本気でそう思っている。

韓国大統領府Facebookより:編集部

私は、世界的な富の偏在には強く反対する立場だ。役所に入って二つ目のポストは多国籍問題の担当だった。そのころは、巨大企業の横暴と戦うことは世界的なコンセンサスだったが、その後、新自由主義の時代になって手が緩められ、多国籍企業礼賛論が主流になった時期がある。

それがさすがにGAFAなどの横暴を見て、世界的な関心が再び高まっている。

ただ、国内経済政策を考えた場合、日本の周囲の国で新自由主義的な政策を採られると、それに対抗するためには追随せざるを得ないのも確かだ。

そうした意味で、李明博や朴槿恵など韓国の歴代大統領が行ってきた金持ちや大企業優遇が是正されるとしたら、大いに結構なことである。日本も過度に新自由主義的な政策に傾かなくて済む。

日本はこれまで、韓国の低賃金や低い税率に悩まされてきて、それに対抗するために新自由主義的な経済政策を強いられてきた。その結果、社会格差の拡大が不可避だったのだ。

逆の意味でも文在寅に感謝したいのは、極端なかたちで性急に弱者保護へ突き進むのも、やはり危ないという教訓も与えてくれることだ。

韓国内において、もし日本の立憲民主党の主張するような衆愚政治を経済で行ったらどうなるかの実演をして、それが失敗せざるを得ない教訓を私たち日本人に教えてくれているのである。

見通しもなく最低賃金を上げたり、優良企業をいじめて経営者を片っ端から逮捕したりするなど、本当に見上げたものだといえる。耳障りのいい政策をエサにした毛針に、日本人が引っかからないように警告してくれているかのようだ。

それに徴用工問題、GSOMIA、レーダー照射、日本製品不買運動など際限ない反日は、これまで韓国への強い姿勢というと足並みがそろわなかった日本人を朝日新聞をモーゼの十戒のように信奉するへそ曲がり以外、広く団結させてくれるのだからありがたいことだ。

安倍総理と韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相による1年ぶりの会談は、良かったと思う。「日韓関係が冷え込んだままではいけない」「対話は継続すべき」、しかし、「徴用工問題は話し合う問題でなく、違法状態を韓国が解消してくれさえすればいいことだ」という日本側の明確な意思を伝えられたのだから、ほどよかったのではないか。

八幡 和郎
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授