アメリカのトランプ大統領が日本政府に対し、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を現在の4倍以上に増額するよう求めていることがわかり、日本のメディアは「桜を見る会前夜祭の5000円」や「沢尻エリカ容疑者逮捕」ばかり報道している場合ではないとの声が聞かれている。
米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」(日本語抄訳はニューズウィーク日本版参照)は15日、事情を知る複数の米政府関係者の話として、トランプ政権が日本政府に米軍駐留経費負担を現在の年間約20億ドルから約80億ドル(約8700億円)に増額することを求めていると報じた。
記事によれば、要求を伝えたのは7月に日本を訪問した当時のジョン・ボルトン大統領補佐官ら。だが日本は既に米軍の活動のために、
沖縄県の普天間飛行場代替施設建設に121億ドル(費用の全額)、山口県岩国の海兵隊航空基地建設に45億ドル(費用の94%)、そして、海兵隊員4800人が沖縄から移転することになるグアムの施設に31億ドル(費用の36%)
などの莫大な費用を負担しており、膨張し続けるトランプ氏の要求に政府は頭を悩ませることになりそうだという。
日本でも時事通信やNHKなど各社が報じたものの、16日のメディアは、午前中は前日に引き続き桜を見る会をめぐる安倍首相の説明がニュースの中心となり、また夕方に速報が入ってからは、女優の沢尻エリカ容疑者逮捕に関する報道一色に染まった。
これに対し、国際政治学者の三浦瑠麗氏は、「沢尻エリカさんのニュースで、駐留経費の思いやり予算を4倍に増やせという米国側の要求の劇的さが霞まないことを願う」「報道には再犯防止にあまり意味がなく、治療など薬物依存から抜け出るための対策充実の方が重要」と注意喚起。
また、アゴラ研究所所長の池田信夫は、「これは『用心棒代をよこせ』ということで、日米同盟を変質させる問題。国会は5000円のパーティの話をしている場合じゃない」との見解を示し、
法学者の玉井克哉・東大教授も「パーティをした経費が安いとか妥当だとか、議論するなとはいわない。だが、米軍駐留経費問題の方が、はるかに大きな問題。さすがにこの判断には、誰もが一致するだろう」と同調した。