森ゆうこ議員が、私の自宅住所を掲載した資料を国会で配布・インターネット公開(11月7日参議院農水委員会での質疑に際し)してから、10日以上経った。いまだに謝罪も説明もない。
報道によれば、14日の参議院議院運営委員会理事会で、野党統一会派の川合孝典理事(国民民主党)は「謝罪」したという。悪いことをしたとの認識があるのに、なぜ私への謝罪がないのか、なぜ森議員本人が謝罪しないのか、全く理解できない。
国会議員は他人に迷惑をかけても謝らなくてよい特権がある、とでも考えているのだろうか。もしそうなら、「免責特権」を完全にはき違えている。
謝罪の前提として、当然ながら、経過の正直な説明も必要だ。
森議員は報道によると、「個人居宅との認識はなかった」と言っているらしいが、そんなことはありえない。11月7日の質疑で森議員は、同じ資料に掲載されていた法人住所をわざわざ読み上げ、他の法人と「住所が同一」にさんざんこだわっている。もうひとつ別の住所が記載されていることに気づかなかったわけがない。
11月19日の参議院農水委員会で、森議員は、自宅住所公開の件には一言の言及もないまま、またも私に関わる「疑惑」の追及をした。
「平成27年10月23日のカラ会議疑惑」については、ツイッターで回答済みのつもりだったが、また追及があった。
本当のところ、これが何の「疑惑」なのか、私にはさっぱりわからない。実際には会議がなかったのに時間相当分の委員謝金を私がくすねたとの「疑惑」ならば、私と当時の文科省担当者を証人喚問したらいい。すぐ解決する。
ただ、なぜ私が、委員謝金をくすねるような人物だと繰り返し名指しされなければならないのか、本当に理解に苦しむ。
森議員は19日委員会で、委員謝金の経理書類をかねてより内閣府に求めていて、「5か月かかっても出てこない」ことも、厳しく追及した。
これは、議場で大塚副大臣が答弁したとおり、膨大な資料があり、かつ、多くの関係者の個人情報を含み、個別に許諾をとっているため、作業負担が尋常でないだけのことだろう。大塚副大臣もいうとおり「個人情報はうっかり出してしまったではすまない」。慎重に精査するのは当然だ。
森議員は「(資料を出さないのは)よほど都合の悪いことがあるのだろう」などと発言していたが、単なる空想で「疑惑」を主張するのはもうやめたほうがよい。
今後もさらに本件を追及し続けるそうだが、それよりも森議員には、これまでの国会質疑に関して、私の質問に早急に回答してほしい。
森議員は11月7日に私の自宅住所をさらす前に、10月15日の参議院予算委員会で「(私が)国家公務員だったらあっせん利得、収賄で刑罰を受ける」と発言した。具体的にどの行為か説明を求め続けているが、この質問にも、いまだに回答がない。
どうしても国会外では答えられないならば、国会において、当事者双方の証人喚問を実現いただきたい。証人喚問ならば、偽証は認められず、国会議員も免責特権の枠外になる。公正に真実を明らかにできることを強く願っている。
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原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。