南京に行ってきました

中国の各地を団体旅行に乗っかって見て回ることを、ここ数年やっている。けっこう庶民の生活ぶりも考え方も分かるから視察旅行より気に入っている。

そんな中で、南京が行き先に入っている旅行は非常に少ない。南京事件30万人虐殺という中国にありがちなプロパガンダのせいである。あとで解説するが、日本文化とさらには日本民族にとって故郷というべき土地だけに残念だ。

以前は名古屋市と南京市が姉妹都市交流で行き来が盛んだったが、河村たかし市長の南京事件否定発言(参照:Jcastニュース)からそっちも冷えている。

というわけで、以前から行きたかったのだが、チャンスがなかった。旅行の募集があっても人数が集まらなかったり、南京は半日とかいうケースも多い。

今年も南京行きのいい旅行がなかったのだが、よく検索しているので、プッシュ型の通知で名古屋発の旅行の誘いがあって乗ることにした。集まりが悪く違う日の申し込みを一緒にして人数を集めたらしい。名古屋空港から直行便で南京へ。そのまま、揚州に行って一泊。

翌日は御前は揚州、午後は鎮江をまわり、南京へ。3日目にまる一日かけて南京を回り、4日目の朝に帰国である。

航空会社は吉祥航空とかいうので、機体はA320でいいのだが、モニター画面なし、午後四時頃に乗って4時間の旅だが、スナックだけで食事なし。空港にある店で白湯にキクラゲとお揚げさんの入ったラーメンもどき。

日本風のラーメンに刺激されて、中国えも汁そばがブームのようだ。日本の中華料理店から導入したイメージだ。

先に南京の紹介をすると、行ったのは、まず、中山陵。孫文の墓だが、歴史上の位置づけがよく似ている明治天皇の伏見桃山陵を大規模にし、立派な建物が並んでいる。明治天皇陵ももう少し行って楽しいものにしないと参拝客が減るばかりだ。

中山陵

ついで洪武帝の墓である孝陵。琉球に入貢を促した皇帝で、いろんな意味で毛沢東に似ているので、新中国での評判は悪くない。ラクダや象など動物の石像が参道に並んでいる。

美齢宮は蒋介石時代の総統公邸。展示を見ても蒋介石に対するポジティブな評価が目立ち、「書家としての宋美齢」などという展覧会も開かれていた。

総統府は入らなかったが、ものすごい観光客。故宮も同様で、明代の城壁に登る。南北朝時代の南朝が滅びたとか、南宋がモンゴルの攻撃で開城したとき、さらには、日本軍の入城など陥落の歴史がよみがえる。あるいは、倭の五王の使節がやってきた場所でもある。

淮泰区というのは、東京でいえば浅草みたいなところ。夫子廟は学問の神様的な位置づけもあるらしく、北野天満宮みたいなものだ。そのまわりに浅草的な繁華街が広がるが、ここがまた、ものすごい人。上海の豫園みたいなもので、レストランも多いが、立ち食いの飲食店が多く、それが内容の多彩さと工夫が高レベル。大阪のミナミあたりから学んだところが多そうだ。

南京の名物料理は、塩水鴨とかいうもので、コンソメスープで鴨を煮込んだもの。お茶は緑茶系や穀物をいれたものなど。ウーロン茶の世界ではない。

淮泰河クルーズというのがあって、ベネチアの運河巡りのようなものだが、猛スピードで40分くらい濃い内容。発着の船だまりの向こうでは大音響の音楽と女性たちの踊りありで、道頓堀などはこれに習ってもう少し工夫して欲しい。

この地区に最近できた「科挙博物館」というのがあって、これがなかなかいい。科挙の歴史を解説し再現しているがかなりの規模だ。

例の南京事件の記念館だが、コースには行っていない。時間に隙間があったら行きたかったのだが、市内が大渋滞でちょっと見に行くというわけにはいかないので断念した。


八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授