柚木道義議員の10月23日衆議院内閣委員会での質問には、根本的な間違いや、憲法違反と考えられる発言があった。特に重大な以下4点につき、柚木議員に繰り返し説明を求めてきた。しかし、いまだに説明がない。
- ツイート時刻変造
- 署名活動への弾圧
- 私の記事への弾圧
- 会食に係る事実と異なる発言
また、柚木議員からは、11月5日にツイッターで「逃げ回らずに堂々と国会で真相究明の議論をしましょう」とのメッセージをいただいた。私は「ぜひ国会に呼んでください。伺います」とお返事したが、その後全くご連絡がない。
柚木議員はその後も国会質問をしているようだが、私の国会招致を要請しているのか、実現のため与野党でどう協議しているのか、一切説明がない。
ぜひ国会に呼んでください。伺います。
当事者双方の証人喚問を検討いただくよう希望します。
証人喚問ならば、国会議員の方も免責特権の対象外。公正に、真相を明らかにできると思います。 https://t.co/NHH5wfXYTf— 原英史 (@haraeiji2) November 5, 2019
自らの言論に責任を持つことは、国会議員の最低限の資質のはずだ。説明を求められれば責任を持って説明する。やると言ったことは真摯に実行を目指す。それができない人は、国会議員を務めるべきではない。
“Comply or Explain” という言葉が、コーポレートガバナンスなどの分野でよく用いられる。推奨される基準を「遵守する」か、できないなら「説明する」か、どちらかを選べ、ということだ。
柚木議員には、これをもじって、“Explain or Resign”、「説明する」か、できないなら「議員辞職」か、どちらかを選ぶよう求めたい。
「説明する」か「議員辞職」か、どちらかが実行されるまで、考え得るすべての手を尽くす。そのうち、ほかの話題に関心が移って有耶無耶に、といったことには決して終わらせないつもりだ。
すでに申し上げてきたことばかりだが、念のため質問状にして、柚木議員にお送りしておく。
質問状
1. 10月23日衆議院内閣委員会での質疑関連
1)ツイート時刻変造
柚木議員は、森ゆうこ議員の10月15日参議院予算委員会での配布資料(「図」)に関して、内閣府が事前に漏洩したに違いないと指摘し、北村誠吾・地方創生担当大臣を厳しく問い詰め、調査を要求しました。その根拠は、高橋洋一氏が14日ツイッターで「図を見た」と発言したこととしていました。
しかし、その後、高橋氏のツイートは日本時間では質問後(10月15日11:57)になされており、柚木議員はサンフランシスコ時間(10月14日19:57)で表示された資料に基づき、「事前漏洩」を主張していたと考えられることが明らかになりました。
これに関して、
- ・柚木議員は、サンフランシスコ時間での表示と認識して、意図的に間違った指摘をしましたか?また、サンフランシスコ時間で表示した資料の作成に関与しましたか?
- もし意図的でなかったとすれば、間違った情報を誰から入手しましたか? 高橋氏のツイッター文面を確認すれば、質問後のツイートであることに容易に気付いたはずですが、確認を怠ったのはなぜですか?
- ご自身の間違いについて、これまでどう対応しましたか? 間違いに基づいて厳しく追及した大臣や官僚への謝罪はしましたか?
2)署名活動への弾圧
森ゆうこ議員の10月15日の国会質問では、私に対する不当な誹謗中傷がなされました。私ほか14名の発起人で、森議員の懲罰などの検討を求める署名活動を行っています。
これに対し柚木議員は、「どういう立場で意見をするのか、質疑するのか、当然、質問権の自由ですから、気に入らなければ弾劾請求なんてやっていたら、質問は成り立ちませんよ」と指摘し、北村大臣に「(これを)認めるんですか」と繰り返し質問しました。すなわち、政府に署名活動をやめさせることを迫りました。
森議員の質問内容が不当だったかどうかは脇においても、これを批判し懲罰を求める署名活動に対し、政府の担当大臣にやめさせるよう迫ったことは、憲法で保障された言論の自由と請願権を国家権力をもって封じ込めようとした弾圧行為と考えられます。
これに関して、
- ご自身の発言が憲法と整合的であるとお考えであれば、ご説明ください。
- もし間違った発言だったと認めるならば、相応の方法で訂正・謝罪してください。
3) 私の記事への弾圧
森ゆうこ議員の10月15日の国会質問に先立ち、私は14日付でアゴラに記事「森ゆうこ議員の国家戦略特区に関する質問通告に関して」を公開しました。内容は、それまでに野党合同ヒアリングでなされてきた議論につき、間違った点を事実に基づき指摘したものです。
これに対し柚木議員は、「延々と批判を展開しているんですよ。あり得るんですか」「質問封殺と読めるような文言ですよ」と指摘しました。
これに関して、
- 柚木議員は、質問に先立ち、本当に私の記事を読みましたか? どの部分が「質問封殺と読めるような文言」と思いましたか?
- もし柚木議員の指摘が、国会議員の議論に対し「批判」したことを問題視したのであれば、憲法で保障された言論の自由に対する侵害と考えられます。ご自身の発言が憲法と整合的であるとお考えであれば、ご説明ください。
- もし間違った発言だったと認めるならば、相応の方法で訂正・謝罪してください。
4) 会食に係る事実と異なる発言
このほかにも、柚木議員は国家戦略特区に関して多くの間違った指摘をしています。とりわけ看過できないのは、私や内閣府関係者が特区提案者と「会食」したと指摘し、「それら(注:会食)の場に藤原豊当時の内閣府の審議官が、これは御本人は認めているんですよ、その場にいたと」と発言したことです。
藤原氏は一貫して、当該日の15時まで福岡市主催のイベントに出席し、その後遅くとも16時までに福岡空港に向かっており、「会食」した可能性はないことを説明しています。
これに関して、
- 間違った発言をした理由を説明し、相応の方法で訂正・謝罪してください。
2 「国会招致」関連
- 11月6日以降、私の「国会招致」を要請しましたか? 実現するため、どのような取組をしましたか?
- 私は「当事者双方の証人喚問」を希望しています。真相の解明のため最善と考えるからです。賛成いただけますか?
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原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。