こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka
出版不況と言われる時代です。「本が売れなくなってきた」と言われて早20年が過ぎました。人は往々にして自分の周囲の行動や結果を「世の中の縮図だ」と拡大解釈するクセを持っています。そこを割り引いて考えなければいけませんが、私の周囲を見る限りにおいては熱心な読書家が多く、「本が売れない」という感覚はどこか遠くの世界に感じてしまいます。
私自身、作家として本を出版して売る立場であり、かつたくさん本を読む読書家でもあります。作家、読書家の立場で「昨今の本事情」について思うところを取り上げます。
出版不況というのは本当なのか?
まずは世の中の出版不況について、データを参照してみます。上記の図は出版指標年報2018年版のもので、これを見る限りは、書籍・月刊誌・週刊誌ともにすべて右肩下がりとなっています。
しかし、紙媒体での本の売上は落ちていますが、考え方によっては「電子書籍へ移行した」とも言えます。つまり、もしも電子書籍の売上が大きく伸びているなら、媒体は違えど、本としては売れなくなったわけではないということが言えるわけです。
では電子書籍市場規模の推移を見てみます。
これを見る限り、大きく伸びていることがわかります。あいにく、紙媒体の本の売上減をカバーして余りある増加ではないので、「紙・電子ともに本は売上が下がっていない」とは言えません。が、語学学習本など、本に向いた情報伝達の分野もありますから本自体がなくなることはないと考えます。
本はビジネスマンにとっての「商品仕入れ」
世の中にあるすべてのビジネスは「商品を仕入れ、販売する」というプロセスを経ています。これに一切の例外はなく、フルーツを販売するなら果物を仕入れて販売しますし、セミナーも情報やノウハウを仕入れて加工し、講演という形態で提供します。
本についていえば、ビジネスマンにとっての商品を仕入れにあたります。私は複数ブログを運営し、メディアで記事を寄稿し、講演活動をして本を出版しています。専門分野は、フルーツビジネスや英語教育、その他ビジネスマンの思考法などですが、これらのノウハウや新たな知識の獲得にも商品を仕入れ、つまりは読書が絶対に欠かせません。
読書をすることで得られた知見に、自分の意見や体験談を盛り込むことでオリジナルのコンテンツとなります。それをせず、ひたすら発信し続けるだけでは、持っている情報やスキルは時代に伴ったものにはならず、陳腐化してしまいます。
そう考えると、本を読むというのはビジネスマンにとっての商品を仕入れ以外の何物でもないのです。
デキる人は読書をする
世界的なビジネスマンである、Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏や、元マイクロソフトのビル・ゲイツ氏をはじめ、デキる人は読書をしています。これは今も昔も変わりません。
私も付き合いのある億を稼ぐ社長などを見ていると、彼らはせっせと読書をして上述したように読んだ内容に自分の意見、体験談を盛り込んで世に提供しています。
ネットで検索すれば情報は出てくる、という主張がありますがその意見には懐疑的です。確かに物理的には可能です。必死に検索して情報をあちこちから集め、体系化し、体験というフィルターを通せば本を読んだのと同じ結果が得られるでしょう。
しかし、ネットは情報が断片化されています。「まとめページ」などもありますが、その情報の有用性、信頼性は担保されていません。権威のない、一般人が書いた情報を鵜呑みにすることで、書籍代が浮くどころか、間違った情報によりミスリードすることになったり、時間ばかりがかかってしまいます。
そこへいくと本は非常に優れた情報収集ツールです。私自身が現時点で2冊出版しているので分かるのですが、本はただ好き勝手書いていいわけではありません。テーマがあり、体系化して執筆します。さらにそれを分かりやすく編集され、デザイナーがさらに読みやすくする工夫を加えて世に送り出されます。
「自分はすごい」などと言っているつもりはまったくないのですが、本を出版するということは、何かしらのエッジが効いたスキルや経験が必須です。ですので、本になっている時点で「エッジが効いた何かが込められている」というお墨付きがあるのです。出版社は本を出すにあたってリスクを取って巨費を投じます。なので、内容がペラペラな本はおいそれとは出せません。
今も昔も、読書は有用で他者に差をつけるための投資対効果の大きいアイテムです。稼ぎ続けるビジネスマンであるなら商品を仕入れを怠ってはいけないのです。
黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表
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