中田宏の知っトク解説、今回は“ヘイトスピーチ”
ヘイトスピーチは、ある特定の民族や人種に対する差別的な言動です。日本から出て行けとか、死ねとか動物に例えるなどの様々な誹謗中傷は明らかに人権侵害です。特に公共的な場でデモや拡声器などを使って口汚く罵るというような行動が問題になってきました。
そこで、国は平成28年にヘイトスピーチの解消を目指す法律を制定しました。一方で、日本国憲法第21条の表現の自由もあります。
何を言ったらヘイトスピーチに当たるのかということを判断することは難しいですし。また、それを恣意的に決めることも許されません。
ヘイトスピーチ解消法は、ヘイトスピーチの解消への理解を深め、ヘイトスピーチのない社会を実現することを目指しています。そのために国や地方が教育や啓発活動などに努めることが規定されています。ヘイトスピーチ解消法には罰則ありませんが、人権侵害になるような言動には、名誉毀損などの罰則が別に定められています。
そこで川崎市は、現在開かれている議会に刑事罰を盛り込んだ条例を提出しています。その条例ではヘイトスピーチをした人にやめるように勧告や命令をしても、やめずに繰り返し行った場合には最高50万円の罰金を科すという内容です。
ヘイトスピーチ解消法は、本邦外出身者とその子孫を対象にしています。すなわち外国出身者やその子や孫です。従って、日本人に対するヘイトスピーチには触れていません。現実には、総理大臣を対象にするなど日本人に向けたヘイトスピーチもあります。
その意味で、相手が日本人だったら誹謗中傷・罵詈雑言を言ってもいいというのはおかしいという指摘もあります。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年12月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。