2020年12月に発表される今年の10ニュースの1位は天変地異がない限り、「五輪開催、世紀のイベントに熱狂」だと確信しています。これは日本が極めて安定していてサプライズがないという意味でもあります。世界を見渡せば明日がどうなるかわからないところもあります。香港では自分の人生を国家に頼ることができない危機感が見て取れます。一方、今の日本で海外移住せざるを得ないという方はまれだろうと思います。これは日本にとって実に喜ばしい事なのであります。
日本は島国でかつては鎖国もしていたこともあり、外で起きている激しい戦いや社会の変化を情報としては知っていても肌で感じることは少なかった歴史があります。そのギャップは海外から見ても同様で、日本が神秘の国であり、日本を理解できず、摩擦が生じたこともしばしば起きました。
しかし、ヒトとモノとマネーと情報が国境を超え、海を越えてきます。日本には年間3000万人もの外国人が訪れます。それは日本の独自性のベールが剥がされ、日本も国際社会に同調しやすくなるのは否定できない事実であります。
我々がこれから直面することはこの世界とのギャップをどうとらえていくかであります。ギャップを埋めるのか、我々は独自の道を歩むのか、大きな問題に直面するでしょう。私はその両面をうまくとらえて日本らしい立場から国際社会の中で畏敬の念を抱いてもらえるような国家と国民になれればと考えています。
そのためには教育を見直すべきです。日本人故に日本をもっと知り、歴史をしっかり勉強する気持ちを持ってもらうべきだろうと思います。それが国際人への第一歩なのです。
さて、2020年の日本はどう展開するでしょうか?
経済についてはマインド設定がとても悪い気します。オリンピックに全ての焦点が当たっていて、秋から腑抜けになるようなイメージすら持たせるメディアもあります。オリンピックはわずか2-3週間のイベントであり、東京近辺での経済的便益が中心です。気持ちと経済は別物であり、日本経済が低位ながらも安定成長を続けるという前提に立ち返るべきであります。
多くの企業はオリンピック後の投資を考えています。(建設コストの問題です。)新たな取り組みも数多くあります。万博だってあります。20年代という新たな10年のスタートが8カ月後に萎んでしまうような老体の訳がありません。
政治は面白いかもしれません。都知事選がオリンピック直前に行われますが、現状からすれば小池百合子氏の都知事再選はほぼ確実だとみています。個人的にはその後、彼女は首相を狙う可能性があるとみています。
つまり、安倍首相の後継者は岸田、石破、菅…といったありそうでなさそうな候補者各氏ではなく、安倍首相の後継狙いの筆頭になりえます。これは今年ではありませんが、小池氏がオリンピックを成功裏に終わらせ、都政に一定の道筋をつければこれほど強力な対抗馬はいないでしょう。
安倍首相の憲法改正を前提とした衆議院解散もあると思います。オリンピックが終わった後ならいつでもあり得るでしょう。ただし、憲法改正論議がほとんど盛り上がっておらず、オリンピックまでは余計メインテーマにならない内容だけにタイミングの取り方は難しいかもしれません。
社会は年齢ギャップの時代を迎えます。8050問題が話題になっていますが、私はあえて言うなら724212問題だと思っています。72歳は団塊の世代の中心年齢、42歳が団塊ジュニア世代、そして12歳がFoorinのメンバーの中心年齢であります。
つまり、元気で社会に前向きに溶け込んでいるそれぞれの世代がどうやって社会を回すかに社会的焦点が集まってくるとみています。レコ大を取ったこの子供たちのグループはオリンピックと相まって大きな未来と夢を植え付けるかもしれません。その親である42歳の世代はある意味、72歳世代と12歳世代のつなぎをいかにうまくできるかにかかっていると思います。
最後に外交的に世界の中のニッポンを意識するのも今年だと思います。中国習近平氏が4月に来日します。北朝鮮問題も引き続き重要です。そして隣国韓国との距離感がどう変化するか、ここも重要なテーマになります。アメリカとの関係よりも東アジアの中の日本が否が応でもフォーカスされる年になると思います。
平和の中に夢と希望と将来への期待が持てるそんな日本の2020年代の夜明けの年になってくれると強く信じています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年1月2日の記事より転載させていただきました。