ビジネスモデルを変えなくても良いのは「蕎麦と鰻の老舗だけ」

かつてのお気に入りのお店に、久しぶりに出かけたらガッカリした経験ってありませんか?

これはお店の味が変わったのではなく、自分の味覚や好みが変わってしまったのが原因だと思います。

飲食には時代の流れがあります。例えば、私が社会人になりたての頃は、フレンチと言えば、赤ワインをボトルで注文して、メインはこってりとしたソースがかかった肉料理というのが定番でした。

しかし、今やフレンチレストランに出かけると、お料理はスープ、前菜、メインといったコースにとらわれることなく自由に構成されています。お店によってはワインペアリングと言って、お料理毎に合うワインをグラスでサービスする方式が主流になりつつあります。味付けもこってり系より、和食に近いような繊細なものが増えて、塩だけではなく、うま味を強調するようになってきています。

伝統的なお店では、相変わらず食べきれないボリュームのステーキのロッシーニソースのようなお皿を出すところもあります。でも、本場のフランスでも和食の影響を受けたフレンチが人気になってきて、今までの王道の料理が時代遅れになってきているのです。

お寿司も江戸時代はお魚の保存が難しく、その方法を工夫するところから赤身のヅケや光物を酢で〆るといった江戸前の技法が発達しました。しかし、冷蔵庫が出来て、郵送技術も発達した現在では、新鮮な素材でお寿司を握るのも人気になっています。

そうなれば、今までの保存食のような江戸前のお寿司だけではなく、新鮮な材料を組み合わせた新しいお寿司に進化していくのは当然の流れです。

このように伝統にあぐらをかいていると、技術進歩や世の中の変化に取り残され気が付かないうちに、レトロな存在になってしまいます。

やり方を時代と共に柔軟に変えていかなければならないのは、飲食店に限らずビジネス全般に言えることです。

今まで正しいかったからといって、これからもずっと正しい方法とは限らないのです。時代や環境の変化の中で自分の立ち位置を調整しながら、ビジネスモデルを柔軟に修正する。これが、これからのビジネスパーソンに必要なスキルだと思います。

昔ながらのやり方を踏襲し、むしろ変わるべ必要が無いのは、私に言わせればお蕎麦と鰻のお店くらいです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年1月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。