新型コロナウィルスは、日本国内でこの週末も感染者が確認されるなど危機的なムードが漂う中、インターネット大手のGMOグループは26日、感染拡大に備え、中国人が多く集まる渋谷、大阪、福岡で勤務する社員について2週間を目処に在宅勤務とする方針を発表した(プレスリリース)。
同社は2011年3月の東日本大震災以後、BCP(事業継続計画)の構築の取り組みの一環で、一斉在宅勤務の訓練を毎年定期的に実施していたという。日経電子版によると、対象は社員の9割にあたる4000人規模にのぼり、きょう27日に予定している取締役会もウェブ会議で行う予定という。
この取り組みが報道された26日夜、ツイッターではGMOや熊谷正寿社長ら経営陣の「英断」を称賛する声が続々と投稿された。
こういった職場がもっと増えてくれれば、「そこまでしてくれるんならもっと一生懸命働こう」って思えるんだけどなぁ。羨ましい。
熊谷さん、さすがです。普段から危機管理の姿勢、仕組みができてワークしてるからこその機動的な対応ですね。
社内の危機管理体制が行き届いていると世間に知らしめましたね。在宅勤務で遠隔作業等、もっと制度を取り入れる会社が増えれば、本当の意味での働き方改革に近づくのではないのでしょうか。
一方で、自分の勤務先と比較しながら嘆く声も続出。
うちの会社は、感染が出たとしてもそんな判断はできないだろう
うちの会社なんて当たり前だけど会社行かないと仕事できないし、IT関係の会社はそういうところやっぱり強いよね
良い試みだと思う。うちの会社は個人情報を扱っているからという理由で一切の書類が持ち出しできないけれど、そのうち社会に置いていかれそう。
といった意見が並んだ。
政府は近年、働き方改革の一環で介護や育児などの両立がしやすいようテレワークの導入を推進しているが、総務省の「通信利用動向調査」では、2013年に9.3%だったテレワークの導入率は2018年に19.1%にまで増加した。
しかし、現実的には災害時でも在宅勤務に切り替えるのが難しい企業が大多数だ。昨年9月の台風15号が通過した直後も交通機関の混乱が続く中で、出社勤務する人たちがいたため、千葉県習志野市のJR津田沼駅が入場規制を行って、その異常な長蛇の列がネット上の話題になり、「社畜の参勤交代」などと揶揄される事件もあった。
GMOのようなネット企業がテレワークを導入しやすい業種とはいえ、工業化社会の名残りで一斉出社・退社に固執し、有事の際も社員が通勤地獄に苦しむ企業は後を絶たない。満員電車での感染リスクを懸念する意見も相次いでおり、GMOのニュースを機に各企業のワークスタイル見直しが進むか注目される。