東京新聞の望月衣塑子記者を「事実に反するツイート拡散」と批判した毎日新聞の記事に対し、朝日新聞の尾形聡彦記者がツイッター上で反論を展開、別の毎日新聞の記者もこれに同調し、リベラルメディア内がカオスな状況に陥っている。
毎日新聞の秋山記者による望月氏批判記事に関し、朝日新聞サンフランシスコ支局長の尾形氏が日本時間の6日夜に感想ツイートを連投。「番記者とそれ以外の記者が区別なく当たるよう運用を改めるべき」「番記者の特権意識が感じられる」「内閣記者会の上からの目線を感じる」などと述べ、望月記者を擁護した。
続1)秋山記者は「菅氏は会見で、まず各社の長官番を指すことが多い」と書いていますが、そこは進行役の幹事社が、番記者とそれ以外の記者が区別なく当たるよう運用を改めるべきです。ホワイトハウスの会見は6年前から運用が改善され、外国人記者も会見途中で当たります。(続https://t.co/nnreiiFV4T
— Toshi Ogata (尾形 聡彦) (@ToshihikoOgata) February 6, 2020
続2)秋山記者は、「望月氏が(東京新聞の)長官番に質問を依頼することは可能だ」とも書いていますが、記者は問題意識を持つ本人が質問すべきなのは自明です。記事からは、番記者には優先権があって当然という特権意識が感じられますが、そうした古い意識は捨てるべきです(続
https://t.co/nnreiiFV4T— Toshi Ogata (尾形 聡彦) (@ToshihikoOgata) February 6, 2020
続5)記事には「望月氏は内閣記者会の所属ではないが、『加盟社の記者』として幹事に出席を認められている」とあります。正直、上からの目線を感じますし、同じ記者として対等に接したほうが良いと思います。その規則を緩め、多くの記者の参加を認めるのが、時代の流れです(続https://t.co/nnreiiFV4T
— Toshi Ogata (尾形 聡彦) (@ToshihikoOgata) February 6, 2020
この尾形記者のツイートに対し、ネット上には、「仕切る側の一員であるのに、当事者意識が希薄なように思える」「記者クラブをどうこう言う資格があるのか」と指摘する声があがった。
失礼ですが朝日新聞の方ですよね?
尾形さんは仕切る側(16社)の一員であるのに、当事者意識が希薄なように思えてしまいます
書かれてる内容は素晴らしいのですが、私から見れば朝日も毎日も同罪なのです
望月をかばいだてしたくて理屈をこねてるが、そんなに記者クラブ批判するなら朝日新聞から率先垂範して廃止なり、ホワイトハウス型への改革を実践すべきだ。さっきから左派系の人が嬉々としてリツイートしてるが、そもそもの貴殿がクラブ批判する筋合いあるのか。望月の事実無根ツイートもスルーかね。 https://t.co/N4yIryaGqV
— 新田哲史 @SAKISIRU 今春創刊! (@TetsuNitta) February 7, 2020
また、会見運営や記者クラブへの批判について毎日新聞の和田浩明デスクらは、「それ以前に、裏も取れない事象を書き込むのはどうなのか」「秋山記者はそっちの話を書いてる」と望月記者側の問題を改めて指摘した。
会見アクセス問題とか会見運営問題とか記者クラブ問題、ものすごく既視感がありますね。どうしたら変わるのか、どう変わるのがいいのか。今注目されていない会見やクラブはどうなのか。
— 和 田 浩 明 / H i r o W a d a #現 場 に 感 謝 (@spearsden) February 7, 2020
まあ、しかし、会見アクセスとか議論を要する問題以前に、裏も取れない事象を書き込むのはどうよ、という話だと思うよ。 https://t.co/wG4d5vExN5
— 田中一郎🌕名無しの静岡支局長さん (@ralutake) February 7, 2020
そう、秋山記者は、そっちの話を書いてるわけですよね。 https://t.co/FYZcB7JBzh
— 和 田 浩 明 / H i r o W a d a #現 場 に 感 謝 (@spearsden) February 7, 2020
一方、同じ毎日新聞社所属でも、統合デジタル取材センターの中川聡子記者は朝日新聞の尾形氏に同調したが、
内閣記者会にいない記者としては、この尾形記者の指摘にとても納得できました。秋山記者の記事は、記者会の「慣習」と番記者の「特権」を自明のものとして書いていて、それに納得せず逸脱する記者への不快感が前提にあると思います。その慣習と特権に合理性や社会的意義があるのかが今問われていると https://t.co/1EUlJ2AHUg
— 中川聡子 (@nakagawas1) February 6, 2020
これには「毎日新聞内でも内ゲバ」「リベラルメディア内の応仁の乱勃発」「(中川記者に限らず)まさに現場でナマで見ている記者の記事を信用しないで、おそらくは一度も現場を見たことがなく、日本をはるかに離れたサンフランシスコからのツイートに納得するジャーナリストって、なんなの?」といった反応がみられた。
この期に及んで、望月記者を庇い立てする朝日、毎日の非政治部の記者たちと、政治部記者たちとのくんずほずれずの内ゲバの要素。サヨメディア内の応仁の乱勃発。 https://t.co/lJmCwJXPPc
— 新田哲史 @SAKISIRU 今春創刊! (@TetsuNitta) February 7, 2020
民主党政権時の岡田副総理会見で尾形記者と同席したことがあるという政治ジャーナリストの安積明子氏はツイッターで「質問というより意見を述べる」など、尾形・望月両氏に共通する問題点も指摘していた。
望月記者が官邸番記者たちをツイッターで非難したことが、毎日新聞の政治部記者による「事実無根」との猛反論を招き、今度は“望月シンパ”の朝日新聞記者や、同僚の毎日新聞記者たちの再反論を呼び込むという展開。毎日新聞の社内外を巻き込んだ内ゲバが拡大する可能性も出てきた。
東京新聞が、望月氏のやりたい放題を許す「放任主義」が、かえって同新聞も所属する記者クラブのあり方を巡る議論にも発展するという異常事態になってきた格好だ。
※追記(3:30)一部内容を変更しました。