年利9.05%の米ドル外貨預金は「買ってはいけない」

年利9.05%という高利回りの外貨預金の広告を見つけました。

とある証券系銀行が、外貨預金の残高5000億円突破記念で実施しているキャンペーン金利のようですが、よく見ると昔ながらの「トリック」が隠されています。

年利9.05%といっても、適用されるのは1ヵ月定期だけです。そして1米ドルあたり為替手数料が、片道最大50銭かかります。

よく見ると、金利の下のほうに小さな字で計算例が書いてあります。

例えば、1万ドル預けた場合の受け取り金利は10,000ドル× 9.05% × 30日÷365日× 79.685% = 約59.27ドル(税引き後)となっています。

これだけなら、悪くない外貨運用商品かもしれません。しかし、もし為替手数料が片道50銭なら、往復で1円。つまり、10,000ドルの外貨預金に、為替手数料が10,000円かかることになります。

だからこのキャンペーン金利で、1ヶ月だけ運用した場合、為替が円高に変動しなくても、元本割れしてしまいます。

利回り9%以上と聞けば、高金利の預金と思ってしまいがちですが、期間が短く、為替手数料が高ければ、その魅力は消えてしまいます。

このような、リスクの割にリターンの低い「カモ商品」をお得な商品だと勘違いしないためには、金融リテラシーを高めていく必要があります。手数料を含めた計算をしてみれば「買ってはいけない」ことはすぐにわかるはずだからです。

未だに日本の個人投資家の多くは、商品内容よりも、販売している会社のブランドや信頼で商品購入してしまう傾向があります。

大手だから安心、金融機関は信用できる、といった考えを改め、自分で判断できる能力を身に付けるようにしたいものです。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年2月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。