昨日2020年2月13日 槇原敬之さんが覚せい剤の所持で逮捕されました。
しかも2018年の事件で今頃逮捕されるというのは、かつてなかったケースで、ご本人の認否も明らかにされていないことから、経過を見守りたいと思いますが、これが事実だとしたら、槇原さんは薬物依存の治療に是非繋がって欲しいと思います。
槇原さんほどの超一流アーティストで、過去にも覚せい剤の所持で逮捕されながら、今回また逮捕されたとなると、依存症という病気にかかっていた可能性はあると思います。違法薬物を使用したからと言って、皆が皆止められなくなるわけではありません。
ピエール瀧さんなどは、松本先生の診断で依存症ではないと言われていますので再犯はないと思われますし、
過去に逮捕された芸能人の方も、殆どの方が1度の逮捕で終わっています。
いずれにせよ、槇原さんには今度こそ薬物依存の治療プログラムに繋がって欲しい、スタッフさんや周辺の方は、薬物治療の第一人者である松本俊彦先生に連絡をとって、治療体制を整えてあげて欲しいです。
さて、最近ではこういうことを言うと、田代まさしさんのことを引き合いに出し、「薬物は結局止められない」という結論を出す人がいます。先日など、拘置所や刑務所の関係者の方がこう仰っているのを耳にして、
つくづく薬物依存の更生なんか考えていないんだなぁと実感しました。
薬物事犯を刑務所にいれる無意味さ、税金の無駄遣いが本当に勿体ないです。刑務所よりずっと安上がりな回復施設に入って貰った方がずっと良いですよね。早く薬物依存の非犯罪化を実現し、税金を節約しましょう。
さて、では何故治療に繋がっていながらも再発してしまうのか?
それを今日はものすごく簡単に、ざっくりと説明したいと思います。
私も依存症の当事者だから分かるのですが、依存症にならない人は色んなものにバランスよく依存できるのです。ストレスがたまったら、エステに行ったり、映画を見たり、時々旅行に行ったり、友達とランチをする。
こういったことで充分ストレス解消ができるんですね。
ところが他の人と同じように、アルコール・薬物・ギャンブルをやっていたとしても、依存症を発症してしまった人は、今度はそれらに依存できなくなってしまうのです。そしてドーパミンという快楽を与えてくれるホルモンが、アルコール・薬物・ギャンブルでしか出が悪くなってしまうのです。この脳の機能不全が依存症という病気です。
ですから依存物質、依存行為を止めた直後は、ドーパミンの出が悪いわけですから、人生がめちゃくちゃ辛く、苦しいものになります。頭の中を、嫌な記憶や嫌なこと、嫌な人のことが駆け巡り、それが止まりません。止めるためには、依存物質、依存行為に戻るしかないのです。どうです残酷な話だと思いませんか?
この状態から回復するには、今日一日を止め続けるしかありません。
嫌な思いにとらわれたら、この病気のことを分かってくれる人と話をする、ストレスで再発しないように、問題が起きたら人に相談する…など、一人では止め続けられないので、同じ病気を持ち知りつくしている人にサポートして貰うのです。
こうやって困ったとき、ストレスフルな時の、健康的な乗り越え方が習慣になると、だんだん止めている方が楽になり、止め続けることができるようになります。
ところが依存症からの回復が大変なのは、脳の回路が一度出来あがってしまっているので、すぐにまた、かつての記憶や衝動が戻ってくるんですね。ストレスフルな毎日が続いたり、忙しすぎたり、人間関係がゴタゴタしていたり、アルコール、薬物、ギャンブルを目にしたり、身近にやる人がいたりと、日常を生きていると、再び依存症に陥ってしまうような引き金があるんです。
ここでしっかりと回復プログラムが習慣化していて、「あっ、今やばいな~。今日は自助グループのミーティングに出よう!」などと思って行動できればいいんですが、忙しすぎたり、これくらい大丈夫と油断したり、
周りの人が「もう大丈夫じゃない?」などと言って間違った対応をすると、あっという間に再発してしまうのです。
ですから非常に再発しやすい病気なのですが、それでも治療に繋がり続ける限りは、また止めていくことができます。
肝心なのは、この強烈なパワーがある依存症に1人で戦いを挑んでも勝ち目はないこと、自助グループなどに繋がり、同じ経験をした人にアシストをして貰うことです。
槇原さん、きっと止められます。
今度こそ是非自助グループに繋がって回復し続けてください。
孤独な戦いをやめる時です。