これからも投資信託の「牛丼競争化」は続く

資産運用業界の手数料引き下げ競争が止まりません。図表は以前の日本経済新聞に掲載されていたものですが、この流れがさらに加速することになりそうです。

農林中金系の資産運用会社は、信託報酬を完全成功報酬制にする投資信託を設定しました。運用会社は基準価額が上がらなければ利益ゼロになってしまいます。ファンドマネージャーの努力もありますが、リーマンショックのような状況になれば、腕の良い運用担当者でもプラスのリターンをあげることは極めて困難です。

完全成功報酬の投資信託は、当初の運用成績が良かったとしても、いずれそのような調整局面で運用が立ちゆかなくなると私は予想します。

また、野村アセットマネジメントはつみたてNISA向けの信託報酬がゼロという商品を作るそうです。これは、この商品を呼び水にして投資家層を広げようという、広告商品といえます。

手数料が下がる事は個人投資家にとっては良いことですが、採算を度外視したこの手の商品は、いいとこ取りをされてしまい、結局あまり大きな効果が見込めないのではないかと懸念します。

資産運用業界のこのような競争を見ていると、牛丼の価格競争と似たものを感じます。

特にインデックス運用の場合、商品の差別化が難しく、牛丼と同じように価格競争に陥ってしまうのです。

日本の資産運用業界も、アメリカの大手運用会社のように資産規模を拡大し、効率化しなければグローバル競争に打ち勝てません。

牛丼業界が、大手3社に集約されたように、国内の資産運用会社も業界再編を一刻も早く進めていった方が良いと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年2月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。